ずぐんずぐんと突き上げられているようだった。
「あっ・・・んっくっんんん」
ナジムが小さく声を漏らすとアサドはナジムの体を抱えるようにして歩いた。
「マラーク様、お体の具合でもお悪いのでは?」
従者がマラークになりすましたナジムを気にした。
それにしては赤い顔で目が潤み、まるで誘っているかのような色っぽい顔をしている。
このままではまたカマールに手を出されても仕方がない。
「これは貞操帯です。外さなければあなたの体に心配はございません」
アサドはいつになく楽しそうにそう言った。
そんなにも自分が憎いのかと思っても、すぐにそれは下から突き上げるような疼きに変わる。
「アサド・・・これ嫌・・・」
どうしても普通に歩くことができない。
車に乗って移動している間は問題ないが、降りて歩けばその姿がおかしいことは誰が見てもわかるはずだ。
「では本日はマラーク様は腰を痛めたことにして、私があなたを抱いて移動いたしましょう」
ナジムアサドの顔を見上げた。
そこにはまた表情を読み取ることができない無表情な顔でナジムを見下ろしていた。
「そんな・・・」
「ではご自分で歩かれますか?」
それは無理だと言ったはずだが、アサドには軍に行くことをやめるという選択肢はないらしい。
ナジムは諦めた。
「アサド抱いて行って」
「はい、そういたしましょう」
やがて車が到着してドアが開けられると、ドアの前にはカマールが恭しく出迎えていた。
まるで何もなかったかのようにしらじらしくすました顔をしていた。
ナジムはプイッと横を向くが、その勢いで体の中の張り型が動いた。
「はっ・・」
思わず甘い声を漏らしてしまってからカマールを見たが、気がつかなかったらしい。
ナジムは胸をなで下ろしたところに、アサドがナジムを抱き上げた。
「んんっ・・・」
その動きでまた後ろから甘い痺れが体に走った。
アサドは相変わらず無表情なまま
「申し訳ございませんが、本日マラーク様は腰を痛めておられて歩くことができません」
と伝えると、カマールはナジムに近づいて耳元で
「これはこれはまたお盛んでいらっしゃる」
等と下品な言葉を囁いた。
ナジムは唇を噛みしめたが、ここで何かを言っても無駄だと考えて微笑む。
「ほう、これはまた失礼な物言いでございます。本来でしたらあなたなどこのマラーク様には一歩たりとも近づけたくはございませんが、またそのような失礼なことをおっしゃるなら退席ください」
アサドがひしゃりとカマールに言い放つとカマールは
「はっ、大変なご無礼をお許しくださいませ」
とひれ伏した。
アサドはナジムを横抱きにしたまま軍の客間へと進んだ。
後ろでカマールが誰かに合図したことにも気がつかなかった。
ナジムが客間のソファーに下ろされた。
「うわっ・・・あああっ」
その刺激が直接内壁を抉る。
「いい加減声は我慢したらどうです?」
「だったらこれをはずして」
「それはできません」
アサドはナジムが苦しむ姿を見て喜んでいるらしい。
そこにカマールの部下がアサドを呼びに来た。
「アサド様すこしよろしいでしょうか?」
「どんな用ですか?」
アサドが腰を浮かせると彼はアサドに耳打ちした。
「すぐ戻るから絶対に動かないでください」
ナジムにそう言って客間を出て行った。
歩けないのに動けるわけがない。
ナジムはため息をついた。
「おや、どうした?」
急にドアを開けて入ってきたカマールがナジムを見つめる。
「あのお堅い男はしばらく戻ってこねぇから、それまでたっぷりと楽しもうじゃねぇの」
やはりこの機会をうかがっていたのだとナジムはソファを動く。
「うっ・・くっ・・」
甘い声を漏らすとカマールがニヤリと笑った。
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