そう思ったのは全身がびりびりと痺れて動けないのに下肢だけが異様にムズムズとするからだった。
中からムズムズとして自分でもどうしたらいいのかさえわからないほどだった。
「また、薬を・・」
間近に迫った朱鳥の瞳を見つめた。
「さすがにきついでしょう?」
スッと腰を撫でられただけでゾクゾクと背すじを甘い痺れがせり上がる。
「わかっててどうして・・こんな・・ああ」
羽根は体を丸めた。
朱鳥はその顎をすくい上げてもう一度羽根の瞳を見つめた。
「雫さまのご指示なので」
同時に部屋のドアが開いた。
「随分と長い前置きだったようだな」
「雫・・・」
羽根が振り向くとドアの横で腕を組んだ雫が立っていた。
「お待たせいたしました」
朱鳥がベッドの端から立ち上がるとその腕を羽根が掴んだ。
「ちょっと待って、途中で逃げるなんて都合良すぎじゃないの」
一瞬朱鳥の眉が上がった。
雫はただニヤニヤと微笑んでいる。
「私に何をしろとおっしゃるんですか?」
どうせまた雫の遊び相手にさせられる。
痺れる体はだんだんと羽根の自由を奪っていく。
羽根は朱鳥の腰に両腕を巻き付けた。
「朱鳥が俺に薬を使ったんだから、薬が切れるまで責任もってよ」
「それは今雫様の命令だと・・・」
「別に俺はどっちでもかまわないけど」
羽根に抱きつかれたまま振り返った朱鳥に雫はドアの前に立ったまま動かずにそう言った。
羽根は痺れる体で懸命に朱鳥にしがみついていた。
「俺、あんたのせいで体が中から熱いのに体が痺れて動けない。どうにかしてくれるんでしょ」
朱鳥の視線がチラッと羽根の足の付け根を見た。
痺れる体の割にそこだけは元気に天井を剥いている。
朱鳥はもう一度雫を振り返ってから雫が動く気配がないのを確認する。
「仕方ありませんね」
ため息をついて羽根の雄に手を延ばしした。
「ああ・・」
朱鳥の唇が羽根の雄を包み込むと羽根は甘い声を漏らした。
慣れた舌使いに羽根の体は曲線を描いていった。
「ふっ・・」
雫は黙ってその光景を眺めていた。
<「恋占い」占いの館にて15へ続く>
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