さすがにマラークもふたりの様子がおかしいと気がついた。
そしてこの日マラークは寝たふりをして起き上がるとそっとカミールの後をつけた。
カミールは真っ直ぐにアサドの部屋の前に来た。
ノックをすると中からドアが開いた。
カミールが周りを振り返ったので、マラークは慌てて壁の角に隠れた。
カミールは何も疑うことはなく、開けられてドアの中に入っていった。
カミールがいなくなるとマラークはアサドの部屋のドアの前まで近づいた。
そのドアがいきなり開かれた。
「あっ!」
「マラーク様?!」
ドアを開けたアサドはびっくりしてドアの前に立っていたマラークを見下ろしていた。
マラークは寝ていたところからこっそり出てきたため、薄いねまきのままで裸足だった。
アサドは眉間に皺をよせると小さくため息をついた。
それから自分の着ていたガウンを脱ぐとマラークの背中にかける。
「風邪でもひかれたらどうなさるおつもりですか・・・どうしてこんなところにおひとりでいらしたんですか?」
アサドはマラークの背中を押して廊下を歩き出す。
マラークはアサドの部屋の中を気にしながら、アサドに押されるまま自分の部屋の方向へと歩いていた。
「今、カミールがアサドの部屋に入っていったけど・・・一体ふたりで何してるの?」
「ああ、それは彼にも勉強を教えているんです。でも、あなたがもう教えないで欲しいとおっしゃるなら私はもう、カミールを部屋には呼びませんけど」
アサドの言葉にマラークはもじもじしながら廊下に置いてあった飾りの花を一輪掴んで、その花の花びらを抜いた。
「いや、別にそんな・・・でもふたりだけで会ってると、何か俺だけのけ者にされてるみたいで、何だか・・」
とアサドを上目遣いで見つめた。
アサドはチラッとマラークを見てからマラークの部屋の扉を開いた。
「あなたがそうおっしゃるのならもう夜に隠れて勉強を教えたりはしません。カミールにも出ていってもらいます」
「あ、いや、カミールの勉強は俺と一緒でもいいけど」
「それはいけません。身分が違いすぎます。あなたは仮にもこの国の王になられるかもしれないお方ですから」
その言葉にマラークは渋々頷いた。
アサドはベッドにマラークを寝かせて、ふとんをかけ直すとマラークの頬に触れた。
「おやすみなさいませマラーク様」
「うん、おやすみ」
アサドはマラークの部屋を出て自分の部屋に戻った。
アサドの部屋ではシャワーを浴びてバスローブ一枚のカミールが勝手にアルコールを飲んでいた。
「遅かったね。まさかマラークに手を出しちゃったとか?あんた激しいからあの子大変なことになっちゃったりして・・・ああん・・やめてぇ~とか泣いちゃったりして。僕も見たいなぁ。やっぱり一緒にやっちゃおうぜ。マラークのなきが・・」
話の途中でアサドはカミールの頬を打った。
「いったぁ」
頬を押さえながらカミールは笑った。
「痛いのもまた快感・・・か・・・」
カミールはアサドの腰へと手を伸ばした。
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