雅秀が光長の横にぴったりと付いて答えた。
「そうですか。気分が悪かったら止めますから言ってください」
「はい、ありがとうございます」
親切な運転手に気づかれまいと今度は光長が答えた。
「なぁ、俺がお前にどこに行くか言ってもお前はついてくるか?」
雅秀の片手人差し指は蕾に触れて少しずつ間接を埋め込んでいく。
光長はそっちが気になって会話の内容があまり理解できなかったがとりあえずコクコクと頷いた。
「へぇ、淫乱」
耳元で囁かれて光長の体が熱くなった。
気がつけば狭い空間に3人。
ひとりは運転手。この空間にどのくらいいるのかも知らない。
当然雅秀はそれを知っていて、退屈しのぎに光長に悪戯を仕掛けいてるに違いない。
光長はそんな時間は大して長いとは思っていなかった。だが雅秀の手の動きはエスカレートしていく一方だった。
「・・・っ・・・」
必死で声を殺す。ヘタに雅秀を拒めば前にいる運転手に気づかれる。
雅秀は普通に座っているふりをしながら指先だけで悪さを仕掛けている。
やりにくいのか幸い前の手は退かしていた。
しかし後ろは既に人差し指が一本潜り込んでいる。
何かを話しかけながらその指を曲げながら光長の反応を見て楽しんでいた。
「なぁ、足りなくないか?」
光長は何のことを言われているのかわからず首を曲げると人差し指が光長の中で曲げられた。
「なぁ?どう?」
光長は頷いてしまった。すると雅秀は楽しそうに
「じゃあ増やしてやるから」
と中指の指先を蕾にあてる。慌てて光長が首を横に振るが雅秀はただ笑っていた。
「まぁ、遠慮しなくても俺は大丈夫だから」
「うっ」
声を出しそうになって光長は口を押さえてバックミラーを見た。運転手は気づいてはいなかった。それにホッとしたのも束の間。次の瞬間に雅秀の中指も蕾の中に入り込んで来た。
「やっ」
小声で雅秀の耳元に呟くと雅秀はそれが気に入ったのか、もっと奥まで埋め込んできた。
「あ、やっ」
続けて耳元で吐息混じりに囁くと雅秀は運転手に声をかけた。
「すみません、こいつちょっと具合悪そうなのでその先の海岸で下ろしてください」
「大丈夫ですか?」
と心配そうに運転手に話しかけられて光長は頷くのが精一杯だった。
<「弦月」海辺にて1へ続く>
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