桔梗は呟きながら椿の部屋には行かずに自分の部屋へと戻っていく。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[1回]
「あれ?桔梗どうしたの?」
部屋でサボっていたらしい花梨が布団の上に転がったまま顔だけ桔梗に向けてきた。
「酷い」
「何言っているのさ」
桔梗が呆然と呟くと意味がわからずに起き上がる。
桔梗は花梨に
「椿姉さんは楓姉さんの悪口を言ってた」
「それが何?」
「許せない」
桔梗が呟くと花梨は笑いながら「そんなことか」と言う。
桔梗は花梨の襟首を掴むと追い詰めた。
「そんな事なんかじゃない!!お前に何がわかる!」
「わかるさ。楓姉さんきれいだから嫉妬されるんだよ。僕も一度で良いから抱いてみたいなぁ」
桔梗はそう言う花梨の襟を力一杯持ち上げた。
「く、苦しいよ桔梗。桔梗は楓姉さんのこと好きになったね」
そう言われて桔梗は花梨の着物を手放すと、バサリと花梨が布団の上に落ちた。
「違う・・・憧れてはいるけど好きじゃない」
「じゃあ、どうしてそんなにムキになるのさ。どうだっていいじゃないかどうせ体を売って金を稼いでるんだから汚れちゃってるよ」
「いくら花梨でもそんなこと2度と言ったら許さない。」
「ほう」
急に花梨が真顔になった。
「僕は真面目にそう言ったんだよ。桔梗だって男なら一度くらいはそう思ったことがあるだろ。そのくらい楓姉さんは色っぽいよ。でもあの人の心はきっと一途なんだ。」
花梨は自分の着物の襟を直しながら桔梗を見た。
「楓姉さんが桔梗には愛情を向けてるね。そんなこと僕にだってわかるよ」
桔梗は花梨を見つめている。
「そんなこと楓姉さんには問い詰めるなよ。可愛そうだぜ」
桔梗が黙って頷いた。
「お前もサボりなら今日は甘味処にでも行ってみるか?」
花梨がいたずらっぽく桔梗を誘うが桔梗は俯いたままだった。
花梨は強引に桔梗の腕を掴んで部屋を出た。
<「桔梗」14へ続く>
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