それが会社の部長だと羽根の脳が認識するまで数分の間があった。
隣の女性はニコニコと笑っている。
「ぶ、部長?!!!!」
羽根が飛び起きて自分が裸だったことに気づいて慌てて布団を引っ張って隣の部長の蒼も裸らしいことに気がついた。
「え?あの・・・え?!」
羽根はただ動揺するばかりで何がどうなっているのかさえわからない。
そうだ昨日のことを思い出せ・・・・
するとみるみる羽根の顔が赤くなる。
ああ・・・朱鳥さんに酷いことされたんだっけ。それだけは覚えていた。
それからカラオケルームで裸で放置されると思っていたんだけどな。
どうしてここにいるのが部長で朱鳥じゃないんだ?
それよりここはどこ?ホテル?
え?俺部長とホテルに泊まったとかかなりヤバいじゃないいいいいい!!!
どうしようどうしようどうしようどうしよう・・・
慌てる羽根に蒼の姿に見合わない大きな無骨な手が羽根の頭を撫でた。
「おもしろいわね~その反応を充分楽しませてもらったわ。雫にも見せてあげたかったくらい。でもこれは雫には絶対に内緒よ」
あ、部長はやっぱり雫と恋人同士なんだ。
でもどうして俺・・・そしたら何のために俺雫にあんな酷いことされたんだよ。
ぐるぐる変わる表情を蒼はニコニコと眺めている。
やがてムクッと羽根が起き出して落ち込んだ顔で
「ごめんなさい帰らせていただきます」
と言い出すと蒼はその肩を引き留めた。
「あら、そう簡単に帰す訳にもいかないのよね。これが・・・あなたには秘密ができたんだからその秘密を共有できる証拠がないと帰せないわよ」
雫への秘密のことを言っているのだろうか・・・それなら別に心配しなくても言わないし言う気にもなれないと言おうとして羽根が振り向くと、いきなりその唇に蒼が口づけてきた。びっくりして両目を見開いた羽根は呆然とする。
えっ・・えっ・・えっ・・・
ただどうしていいのかわからないうちに蒼に押し倒される。
「もう、可愛いんだから~」
裸の羽根の首筋から唇を這わせていく。
女性にしては随分と強引で力強いな・・・さすが帰国子女・・やっぱり海千山千は違うのかな・・・でもっ
羽根はそんな蒼の体をベッドにはねのけた。
「やめてください!!誰にも雫にも言いませんから!!」
強くそう言うと蒼はクスッと笑った。
<「恋占い」蒼の部屋にて3へ続く>
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