「羽根、もう仲良くなったの?気をつけろよ。あいつ見た目と中身のギャップがすごいからな」
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
翼の言葉に苦笑しながら羽根は頷いた。
もう少しわかっているというか・・・
とてもじゃないけど翼に彼が羽根に電車の中で痴漢行為をした等と決して言えない。
過保護な翼はきっと怒るし、羽根の自由を奪うに違いない。
だが明の方はそんな羽根の気持ちも知らないで、テーブルに羽根の頼んだ飲み物を運びながらスッと名刺を差し出した。
幸い翼には気づかれてはいないらしくて羽根は胸を撫で下ろした。
それにしても何だって彼女と別れてから羽根の周りには変な男達が群がってくるんだう?
最初はこの明、雫、朱鳥、山田そして翼も・・・羽根は細長いグラスに入っている赤いカシスソーダに口を付けるとゴクンと飲み込んだ。
甘酸っぱいカシスの香りが口の中に広がっていく。
「おいしい」思わずそう言うと翼は微笑んで羽根に振り向いた。
「だろ、食い物もうまいぜ」と親指を立てた。
そうなのかと羽根が顔を上げて翼の方を見ると翼の脇にはいつの間にか蒼空が座っていた。
翼の手を掴んで翼の手も蒼空の指に絡まっていた。
それを見た羽根は見てはいけないものを見てしまったような気がした。
そうか・・・兄さんこの人とずっと付き合ってたんだ。だからこの人兄さんが俺に過保護だから嫉妬したんだ。
過去に蒼空が羽根に悪戯したことを思い出してフッと微笑んだ。
この人案外可愛い人なのかもしれないな。だから兄さん・・・
と羽根が翼と蒼空をじっと見つめると翼が羽根に気づいた。
「ん?どうした羽根」
「いや、兄さんと蒼空さん仲がいいんだなと思って」
すると蒼空は羽根の肩に腕を回した。
「俺は君の兄さんよりも最近の君に少し興味があるな」
耳元で翼に聞こえないようにそう言うと、翼が困ったような顔をする。
「おい、蒼空!お前には前科があるんだから必要以上に羽根に近づくことは許さんぞ」
翼が笑いながら蒼空の手を羽根から引き離す。
羽根はまた苦笑した。
「全くこの人達は懲りないなぁ」
と窓の外を何気なく見た。
「あの人だ」
この見せに向かって歩いてくるひとりの男を見て、羽根は高校時代に翼と仲の良かった友人の顔を思い出した。
「美波さん来たみたいだよ」
<「恋占い」ダーツバーにて4へ続く>
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