そういえばあの時はショックで何も考えられなかったけど
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
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あれから翼と蒼空はどうなったんだろう?
こんな風に仲が良いということはその場で仲直りしたんだろう。
というかなぜあの場で翼が謝ったのかそれさえも気がつかなかった。
色々と謎が多い2人に羽根は苦笑した。
「美波は仕事らしいよ」
蒼空が思い出したように翼にそう言いながら右手が翼の手を取った。
翼が当然のように蒼空の手に口づけるのを羽根は黙ってみていた。
兄が弟離れしてくれるのはすごくありがたいけど、まさか付き合ってる?!
翼が男と付き合っていると言うことが何となくショックだっだ。
今はあまり自分も偉そうなことは言えないけれど、少し前までは羽根だってちゃんと彼女がいたし、自慢じゃないけど初体験は女性だった。
だから兄が中学から一緒だった彼とそう言う関係だとしたら、兄は根っから男好きということになる。
羽根は軽く目眩を覚えて近くにあったテーブルの椅子に腰を下ろした。
はるとトレーを手にした若い店員が羽根の元にスッと現れた。
「飲み物は何がいい?お腹減ってる?」
とても親しげに話しかけられて羽根は彼の顔も見ずに
「うん少し・・・飲み物はカシスソーダとかある?」
と言うと彼は羽根の前にメニューを差し出した。
「あるよ。食べ物は軽食ならサンドとかそれなりならパスタとかもっとならステーキとかもあるけど」
「じゃあパスタで・・・えっ?お前・・」
羽根がはじめて彼の顔を見て驚いた。
めの前に立っていた男はモデルのようにスラッとした長身で甘いマスクのいい男、羽根が電車であった痴漢の男だった。
「ん?やっと気づいてくれた?君って可愛いよね、あの時もそう思ったんだ」
彼は悪びれることもなくニコニコと話しかけている。
羽根はムッとした。
「俺これでも男だし、公共の乗り物で触ってくるような奴最低」
とプイッと顔を背けた。
でも彼はクスクス笑いながら片手を差し出した。
「君とは縁がありそうだ。土海明(つちうみあきら)ここでバイトしてるけどこれでもモデルやってる」
「ああ、なるほど」
そう言われて思わず羽根は納得してしまった。気づいたときには握手までしていた。
彼は第一印象からは想像できないほど爽やかな笑顔を羽根に向けてから厨房へと去っていた。
<「恋占い」ダーツバーにて3へ続く>
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