羽根の言葉で翼と蒼空が店の入口であるガラスのドアを見つめていた。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
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程なくそのドアが開かれて長身の黒づくめのスタイリッシュに男が現れた。
「あ、ミナミさんお疲れさまッス」
トレーを持って丁度パスタを運んできた明が丁寧に挨拶をした。
それを見ると彼もモデルか何かなのだろうか?羽根がじっと見つめていると美波はその視線に気づいたのかこちらを見て翼に手を挙げた。
「久しぶり」
「おう、相変わらず女受けしそうな格好しやがって、元気か?」
翼の言葉に美波は一瞬瞳を揺らしてから
「ああ、まぁそこそこ」と曖昧に微笑んだ。
翼は蒼空から手を離すと美波に近づいていき、片手で美波の頬に触れた。
美波がその手に触れるとなぜか蒼空がプイッとそっぽを向いた。
それを見ていた羽根はこの3人の関係が微妙なのかと首をかしげる。
「ところで彼が羽根君?」
突然自分の名前を呼ばれて微笑む羽根に翼は
「ああ、弟の羽根。羽根彼が鈴木美波だ、覚えているか?って羽根お前良く美波のことわかったな。もう何年も会ってなかったのに」
翼と美波が同時に羽根に向き合う。
「こんにちは美津濃羽根です。翼がいつもお世話になっています」
「いいえ、お世話になっているのは僕の方だから」
羽根の言葉に美波は優しく微笑んだ。
どこか儚げな美波に羽根はドキリとする。よく見ると色白の肌も細い肢体もまるで女性のような印象を受けた。
どうして俺美波さんって思ったんだろう?自分でも不思議だったが何となく羽根の中で学生時代の美波の面影が残っていたに違いなかった。
それにしても元気で社交的な蒼空とおとなしくて優しそうな美波は対照的に見える。
「あ、蒼空久しぶり・・・」
「美波も忙しそうじゃん。この間の雑誌見たよ」
「あああれ。ありがとう」
蒼空の言葉に少しだけ頬を赤らめた美波が羽根の目から見ても可愛く見える。
ふと隣の翼を見ると蒼空に向けていたのとはまた違った種類の視線を美波に向けていた。
それはいたわるように優しい視線だった。
一体どんな関係なんだろう?
蒼空はたまに辛そうな顔をする。一方翼は美波をずっとエスコートする。
あの蒼空が怒鳴ったり、怒ったりしないのが不思議だった。
翼と蒼空が付き合っているのはわかった。けど美波に対する翼の視線にはどういう心境が隠されているのだろうか?
美波は羽根が見ても守ってあげたくなるような男だった。
でもモデルとしてその容貌がうけているのも事実でかなりの売れっ子だった。
どうやら今度映画の話が来ているらしい。しかし翼はその話に反対していた。
「俺は反対だ!いくら仕事のためとはいえ今のお前には無理だ。それにこれ以上お前の人気が上がったらこんな風に会えなくなるぞ」
「でも・・もうほぼ決定しているから今更断れないんだ。翼には理解してもらいたい」
「翼そんなに反対しなくても美波だって自分で決めたことなんだし」
3人がそんな話題で盛り上がっている中、羽根のもとには明がいた。
<「恋占い」ダーツバーにて5へ続く>
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