光長は5年間勤めていた会社を辞め、今日から新しい会社に通勤することになっていた。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[3回]
早々に支度を済ませてネクタイを締め、背広に袖を通すと通勤鞄を持って部屋を出た。
光長が暮らすマンションから通勤時間40分程のはずなのだが、最初なので2時間早く家を出た。自宅から駅まで歩いて10分。
そこから電車に乗って1回乗り換える。
駅についてホームに着くといつものように本を読んで電車を待つ。
やがて電車が来て乗り込むと開いている席に座った。
「ん?」
突然誰かが話しかけてきたような気がして辺りを見たが知っている顔がなかったのでもう一度読みかけの小説に目を落とした。
やがて乗り換えの駅に到着するので本を閉じて顔を上げると、前に立っていた男が光長の顔を見た。
光長も視線を感じて顔を上げたがその男は光長よりも先にその駅で降りていった。
光長も知らない男だったのでそのまま乗り換えのために電車を降りた。
なぜかすごい人混みに押されながら乗り換えのホームに向かった。
ホームに到着すると、電車が故障のため遅れているとの構内アナウンスが流れた。
そのためにホームに人が溢れんばかりの混み具合だった。
やっと電車がホームに着くが既に満員で乗れる人数もたかが知れていた。
2本見送ってやっと自分が乗れそうになったとき
「?!」
突然、誰かが光長の手首を掴んで引っ張った。
光長は自分の腕を掴む男を見ようと努力するが大勢の人混みに押され誰の手だかわからない。
その腕は光長と一緒に電車に乗った。
そのまま身動きもできずに光長はその手に掴まれたままだった。
やがて発車の合図の音楽が流れてドアが閉まると一層窮屈になった。
光長は誰かの体に抱きかかえられるような体勢になっている。
ところがどうやら光長の腕を掴んでいたのはこの男らしい。
その手がいきなり光長の足の間に入り込み、股のあたりに触れている。
(何?!)
光長はその男の顔を見上げると男は普通にスーツを着た同じくらいの年齢のサラリーマンに見えた。
もし別の人だったらまずいし、女じゃあるまいし大声出すのもみっともないと思い、その手を掴んだ。
ところがその手は難なく光長の手をすり抜けて今度は光長のスラックスのファスナーに手をかけてゆっくりと下げていく。
動こうにもいつの間にか壁際に追い詰められて完全に動けなくなっている。
もう一度キッと男の顔を見上げるとその男は不適に微笑んでいた。
「好きなんだろ」
同時に耳元でそんなことを囁かれる。
そんな侮辱は初めてだった。
光長は驚いて瞳を見開いている間にも男は難なく光長のスラックスのファスナーを下げて指先をいきなり下着の中に入れてきた。
「はっ!」
いきなり声を出すと周りのサラリーマンや学生の冷たい視線が光長に向けられる。
こういう場合、大声を出して逃げてもいいがプライドが邪魔をしてそんなこともできない。
その間に男の指先は光長の雄に触れる。
恐怖に怯えながら巧みな男の指先に僅かに自らの雄が反応を始めた。
(よせ、やめてくれ)
視線だけで男に訴えてみるが逆に煽ってしまったようだった。
男の指先が伸ばされていく。
「ん・・・」
光長は微かな声を洩らした。
男は一度その手を離すと光長を壁に向けるとその後ろから覆い被さるように押しつけた。
服の上から男の昂ぶった硬い楔を押しあてられて光長は背筋に冷ややかな汗を感じていた。
<「弦月」通勤電車にて2へ続く>
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さて、やっとリーマンものです。
名前が「蜜月」と一緒なのは訳ありです。ストーリーがマンネリ化しないよう頑張る!!
短編と言っておきながらまたしても気分で違うものを書いてしまった自分が怖いです。。。
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