光長がたまらず腰を揺らすと「早く言え」と時々指先で内壁を擦る。光長はぽつりぽつりと言葉を吐き出し始めた。
「それで酔ってどうした?」「翔太が・・・僕にキスして・・それで体に触れられて」「どこを?」「・・・むね・・」「胸のどこ」「ち・・くび」「でどんな感じだった?」「気持ちよく・・て」
雅秀は淫らな言葉をわざと光長に言わせた。「お前から何言った?」そう言われただけで光長は赤面した。あの場ではノリでとんでもないことを口にしていた。それを雅秀に言えばまた酷いことを言われると思った。
「・・・なにも・・」「嘘ついたらずっとイけないまま支社に戻るけどいいのか?」さんざん虐められて体は髪の毛が一本触れただけでも反応してしまいそうなほど敏感になっていた。
それだけは勘弁してもらいたい。光長が潤んだ瞳を雅秀に向けると今度は意地の悪い雅秀の瞳が笑っていた。「さあ、全部言え」そう言われると光長は少しずつ口を開いた。
どうせ一部始終言わなくても大丈夫だろうと思ったのが間違いだった。
「挿れて・・と言った」「何をどこに」「・・・?!」「早く言ったんだろお前?あいつの前で・・そのくらいわかってるんだぜ。
一体何をわかっているというのだろう。雅秀とは確かに何度も体を重ねてきた。そしていつも酷い目にあわされ続けている。今もこんな風に焦らされて、言わなくてもいいようなことを言わされている。考えている余裕がないとしても、いつだって同じ展開になることはわかっている。それでもこの男と一緒にいる自分はもしかしたらそれを期待している?まさか・・・それじゃあまるで変になってしまったみたいだ・・・ああ、もしかしたら自分はもう変になってしまったのかもしれない。雅秀にこんな風に言わされていても、それで余計に気持ちが昂ぶっていく。雅秀の指先や唇を見ていると普段でもドキドキしてしまう。翔太とはまるで違う。
その違いは何か漠然としかわからないけれど、明らかに違うことはわかる。
「光長・・・もう他の誰かに抱かれないくらい、俺が良くするから」
一瞬耳を疑った。雅秀の声が切なく聞こえた。程なく戒められていた雄が解放されて雅秀の指先が光長に絡みつく。同時に後ろから強く突かれて思い切り精を吐き出した。
白い蜜が畳に音を立てて散っていく。光長は何度も体を震わせながらその背中を雅秀が力一杯抱きしめていた。解放されたのに後ろから強く突き動かされて、はしたなく前がすぐに固くなる。その雄に雅秀はまた指を絡めた。
「雅秀・・も・・変にな・・る」
「変になれ、そうすればお前は一生俺の腕の中で飼ってやる」
儚くも甘い囁き・・・そして乱暴な腰の動き。光長はその余韻に浸る暇もなく雅秀に体を貪られ続けた。
「雅秀、ここは?」
「陰間茶屋だ。お前も男にしてみるのはどうだ?」
雅秀はそう言うとまだ若い華奢な体つきの青年を呼んだ。彼は女性のようにきれいな着物を着せられて上も後ろで高く束ねている。一見女性のようにさえ見えた。
その青年はもうひとり可愛らしい顔の青年を連れてくる。2人は雅秀と光長を小さな和室が2間続きになっている部屋に案内した。その部屋にはそれぞれ赤い布団に二つの枕が置かれている。いかにもそれをする場所だとわかりやすかった。
「さあ、来い。可愛がってやる」雅秀は青年の手首を掴むと光長の前で見せびらかすようにその青年の着物の隙間から手を入れて素肌を暴いていく。青年は薄く開いた口から声を洩らしていた。光長は見ていられなくて別の部屋に逃げ込むともうひとりの可愛い青年が光長の側に来て肩を抱いた。光長の側に来た青年が光長の体に触れて、光長が思わず甘い声を洩らしてしまった。するといつの間にか雅秀が目の前に立ちはだかり、光長の隣にいる青年をいきなり貫いて泣かせ始めた。光長は驚いてその光景を見つめていた。
「大丈夫か」
雅秀の心配する声にようやく意識が戻った。
どうやら気を失っていたらしい。
また昔の夢を見ていた。こんな時だから淫らな夢など見たのだろうか?それにしてもリアルな夢だった。
そんなことを考えているといつの間にか雅秀に唇を塞がれた。
<「弦月」温泉宿にて6へ続く>
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