雅秀は中央にあぐらをかいて座った。その股間には硬くみなぎる立派な雄がそそり立っている。雅秀は花梨を自らの腕で子供のように抱きかかえた。こうしてみると雅秀と花梨の体躯の差が明らかになる。
それを見ていた光長の胸がなぜかズキンと痛む。
わざと花梨の柔らかそうな太ももを手で掴んで開かせ、今までさんざん弄り続けて赤く熟れた花梨の後孔を男達に見せつける。
「あ・・やぁ・・」
まだ花梨には一握りの理性が残っているらしく、仮面の下からギラついた目が舐め回すように
見つめられて顔を伏せる。
その仕草がまた男達を煽っていく。
「はい、そこまで」
雅秀が自らの猛った楔の上に花梨のその蕾が下ろされそうになったところで芳生が中央に歩み出た。
雅秀は花梨を抱きかかえたまま不服そうに顔を歪める。
雅秀にとってもまさにこれから自らの欲望を満たそうとした瞬間だった。
「くっ」
だが芳生が歩み寄る隣に座って虚ろな目を向けている光長に気づき花梨を床に転がした。
「あんっ」
さんざん愛撫を受けていた花梨は体中どこに何かが触れても敏感に反応する。
クッションの上に乱暴に投げ出されて素肌にその角が触れただけでビクンと雄が動く。
雅秀が花梨から離れていくのを見ると目の前の男が花梨に手を伸ばし触れる寸前に芳生が彼の手首を掴んだ。芳生は素早く彼の仮面をはぎ取ると会場がざわめいた。
その顔はテレビの政治番組などで良く見知った顔だった。省庁のトップを務めている大臣だ。
仮面を取られた男は慌てて顔を隠して部屋から出て行く。後ろから彼のボディガードらしい大柄な男2人も一緒に出て行った。
「失礼いたしました。でも、ルールを破ったものは制裁を受けなければなりません。彼は寸前であのくらいで済みました。気をつけてください」
芳生の冷ややかな声が響き渡り、今まで熱くなっていた会場の温度が一気に冷えていく感じがした。これも彼の計算のうちなのか・・・だとすれば芳生という男はかなり計算高い男だ。
光長が自らに呆れて苦笑する。
その手を誰かが掴んで強く引き寄せられた。
光長が顔を上げるとさっきまで中央で花梨をいたぶっていた雅秀が辛そうな顔で見つめている。
咄嗟にこの場にいてはいけないという思いがこみ上げてきて、光長は雅秀に導かれるまま立ち上がった。
「さて皆さん、今の花梨はすごく従順です。すぐに満足させられるでしょう。でも、それができるのはここにいるどなたかお一人。ここからは入札方式です。ここが肝心なところですが皆様が値をつけるのは、今夜一晩の花梨の恋人の権利です。これは売買ではありません恋人として一晩だけおつきあいすることです。いいですね」
どこまでも冷静でビジネス口調の芳生の声に光長はゾッとする。
このまま雅秀とここを出て行ってもあの写真のこともある。
あんなに権力のある政治家でさえ、一瞬にして尻尾を巻いて出て行かせるほどの鬼。
「お前はまだこんなところにいるつもりか?」
苛ついたような声で雅秀が光長の手首を引っ張った。
そんな二人に芳生は見て見ぬふりをしている。それがもっと光長の動きを止めた。
「ちっ」
隣で雅秀が舌打ちするのが聞こえたと思ったら体が急に宙を浮いた。
「なっ、えっ?」
雅秀は光長を抱き上げると肩に担いだ。
「面倒だ。それに俺だって・・・」
雅秀は途中で言葉を切ったまま歩いてドアの手前で立ち止まると芳生の方を振り向いた。
光長からは彼らのやりとりが全く見えていない。しかしすぐにドアを開けて廊下に出た。
「お前の部屋はここか?」
光長が最初にいた部屋のドアを開けてベッドに光長を下ろした。
「俺も寸前で止められちまって、丁度良かったぜ」
冷ややかに見下ろされたが、中途半端で戒められていた光長には甘い痺れが全身を襲った。
<「弦月」牡丹の間にて1へ続く>
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