雅秀は名目上は弟弟子なので光長よりも先に立って宿の手配をしてくれた。
自分一人ではこういった面で多分慣れていなかったので
そう言う部分では雅秀の同行には助けられた。
この日の宿は温泉付きの宿らしい。
湯治の客が多く泊まる旅籠を案内されて
2人で夕餉の前に風呂に入った。
風呂から上がると夕餉の支度がされていた。
久しぶりのご馳走に善の前に座ると
「飲むか?」
と言って杯を薦めてきた。
「酒か?」
「ああ、こうしてお前と飲むのも不思議だがたまには良かろう」
雅秀の言葉に少しぐらいならと杯をとった。
酒もうまいし肴もうまい。
ついつい時を忘れてお互い酒を酌み交わした。
夜も更けたのでそろそろ寝ようかと立ち上がろうとした光長は
なぜか体の中が熱くて仕方がない。
布団に横になるが興奮して寝付けなかった。
ふと横を見ると雅秀が涼しい顔で寝息を立てている。
その襟から除く逞しい胸元になぜか触れてみたくなって手を伸ばしていた。
が、それだけでは飽きたらずにその着物を襟から開くと
光長はその逞しい胸に口づけた。
(一体これは・・だが・・・)
自分でも信じられないことに自らの欲望がたぎっている。
光長は雅秀の上に覆いかぶさって自らの肌を重ね始めた。
次第にそれはエスカレートして眠っているのをいいことに
雅秀の上にまたがって褌同士をこすりつける。
「・・・?!」
雅秀の欲望もたぎっていることに気づくといきなり
雅秀の瞳が開いた。
「ほう、これは積極的な」
そう言って笑う。
羞恥でその場から逃げだそうとするが難なくその手首を掴まれた。
「せっかくだから最後までしたらどうだ?」
最後までと言われて驚いた。
そういえばこの男に何度も辱められてはいるもののまだ一度もその欲望を直接受けたことはなかった。
ここで自分がするのであれば立場は逆である。
だが・・そんなことをできるとは思えないししたくはない。
気持ちよくはなりたいのだが・・・
光長はそう思ってすがるような瞳で雅秀を見つめると雅秀は何かをこらえるように
光長を逆に布団に倒した。
<「蜜月」 旅籠にて2へ続く>
にほんブログ村
PR