楓が桔梗にだけは唇を許してくれることを特別だと思っているからだ。
暴れる楓の唇を塞ぐと楓の動きが止まった。
僅かに開いた楓の唇の隙間からスルリと舌を入れる。
楓の口の中は既に熱を帯びていて絡め取った楓の舌は熱かった。
楓の口の中の唾液さえも喉元を過ぎると火傷しそうなほど熱く感じられた。
次第に桔梗の体温が上がっていく。
楓の口の奥に逃げようとする舌を奥の方まで追いかけて同時に喉の奥に舌で触れると楓がぞくりとするのがわかった。
この人は口づけに弱いからこの唇を客には許さないんだと桔梗は気づいていた。
ここを許してしまったらもうなすがままである。
そうじゃなくても昨日のように体は敏感にできていて少しでもその白い吸い付くような肌に触れたなら素晴らしく良い感度を見せてくれる。
それも傾城の器の条件と言えるのかもしれない。
ゆっくりと上顎を舌で舐められて楓はいつの間にか桔梗の体を抱きしめていた。
桔梗は調子に乗って楓の頭の角度を変えながら歯の裏側や喉元まで舌を這わせる。
「ん・・・ふ・・・」
楓が酔ったような目つきになってやっと桔梗は楓の唇を解放した。
それでも楓はボーとしたまま虚ろな瞳で天井を見つめている。
開いた襟元に唇を這わせながら鎖骨に軽く歯を立てた桔梗は更に楓の襟元を開いて空気に当たってツンとした乳首に到達する。
ねっとりと舌を絡ませるとそこはまるで応えるかのように反応して硬く尖る。
「あっ・・はっ・・」
楓は客が来ることを忘れて桔梗の愛撫に身を任せている。
そこにふと足音が響いてきた。
楓の動きが止まって桔梗を振り落とす。
しかし桔梗は負けずにもう一度楓を押さえ込むと馬乗りになって押さえ込んだ。
「離せ・・桔梗」
「嫌です。あんたが僕のものだって見せてやりましょう」
「お前一体どういうつもりだ」
「さあ、それより続けましょう」
桔梗が楓の胸に顔を埋めてくる楓は桔梗を退かそうと必死にもがくがビクともしない。
体格はいつしか桔梗の方が上回ってしまっていた。
「いや・・はなして・・」
「そういうあなたもすごくいい」
押さえつけながら開いた胸にもう一度唇を這わせていると襖の外から声をかけられた。
「楓、入るよ」
同時に襖が開かれて楓の動きが止まった。
桔梗も楓の常連客が来て目撃された楓の様子に薄く笑みを浮かべた。
そしてゆっくりと振り返ると、次の瞬間凍り付いたように動きが止まった。
<「桔梗」23へ続く>
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