一体何回イかされたのかもわからない。
最後は出るモノもなかった。
スティーヴンはマラークを抱きしめたまま眠っているのか首筋に吐息がかかる。
その晩マラークは夢を見た。
きれいな薔薇が咲き誇る庭の中
池の畔に建てられた東屋で池に浮かぶ水鳥を見ていた。
そこに誰かの呼ぶ声がする。マラークが振り向くとそこにはアサドが立っていた。
「早くお部屋で勉強をしないと王様に叱られますよ」
優しい微笑み・・・
あれ?アサドってそんな顔で笑うんだっけ?
「アサド?」
「どうしたんですか?あなたはもっと堂々としているべきです」
いつもの説教はやっぱりアサドだ。
だが近くに来たアサドはスーツなんか着ている。
「誰?」
急に霧が深くなってアサドの姿が見えなくなった。
「淫乱王子」
スティーヴンだ。
彼はマラークの側まで来ると東屋で押し倒してきた。
「何だ、お前は俺が買ったんだどうしようと俺の自由なんだ」
とキスをする。
ハッとして目を覚ますとスティーヴンがキスをしていた。
「おはよう」
ああ・・夢ではなかった。
妙にリアルな感触だと思ったんだ。
「この、暇人め」
マラークがスティーヴンの瞳を見つめた。
スティーヴンはクスッと笑う。
「アサドって誰?王子様の何?従者?禁断の恋かな?」
寝言を言ったのか?!
しかもそれを聞かれていたなんて・・・
「そんなんじゃない、私の教育係だ」
スティーヴンはそう言うマラークの唇をもう一度塞いだ。
何だか強引なキス。
朝からこの男は全く・・・
マラークは目を閉じずにスティーヴンの顔を見つめていた。
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