マラークが歌い終わった青年に絶賛する。
だが、それはマラークに限らずね誰もが彼の魅力的な歌に釘付けになっていた。
「アサド、彼が欲しい!!」
アサドは瞳を見開いてマラークを見た。
そしてテーブル越しにマラークをなだめようとして、手をのばしたのとマラークが立ち上がって青年に駆け寄ったのが同時だった。
いや、正確にはマラークの方が一瞬早かったのかもしれない。
アサドが止める前にマラークは青年の側にいた。
彼はマラークを一目見て、ここにいる誰よりも輝いていたマラークの手を取るとキスをした。
「天使が舞い降りたのでしょうか?僕は夢を見ているのかな」
とマラークに微笑みかけた。
「何を言っている?君の歌の方が天使の歌声だよ」
マラークも彼に微笑んだ。
ようやくアサドが人をかき分けて近づくと、マラークと気さくな彼はすっかりうち解けていた。
「マラーク様」
「あれ?君はマラークって言うの?様ってことは君は良いところの御曹司か何か?」
アサドの呼びかけに彼がマラークを見つめる。
アサドはしまっという顔をしつつもすぐに切り返した。
「私の主人です」
その言葉に彼は興味深そうにマラークを見つめた。
「僕はマラーク。君の名は何?」
「カミール」
しかし、マラークは全く警戒せずに彼に名を尋ねた。
「カミール、家に来て僕のために歌ってくれない?」
単刀直入すぎる誘いにアサドは慌てた。
だが、カミールは驚いた様子もなく、人の良さそうな笑顔でマラークを見た。
「君のようなきれいな子の前で歌えるのなら、僕の歌は更に磨きがかかるよ」
「ちょっと待った!!」
そんなやりとりを黙って聞いていた店のオーナーらしき男が、突然割って入ってきた。
「お前には借金があるんだから、それを払い終えないうちはうと以外の店で働くことは許さないよ」
その言葉にカミールが両手を開いて肩をひょいっと上げた。
「そうだった。やっぱりダメみたいだ」
こいつは最初から知っていて言っているのだとアサドはカミールを怪訝そうに眺めた。
「じゃあ、その借金を払えば連れて帰ってもいいの?」
「マラーク様、お戯れも対外に・・・」
「うるさいよアサド!」
カマールがはじめてアサドに逆らった。
アサドはショックでそれ以上言葉を発することができなかった。
「いいけど、そんな安い金額じゃあないぜ」
店のオーナーがマラークに凄んだ。
しかしマラークはそんなオーナーにさえ天使のような笑顔を向けた。
「しょうがないな坊ちゃん、一晩。俺に付き合えば考えてもいいぜ」
同時にアサドは店のオーナーの襟を掴んでいた。
「冗談だよ・・・だが高いってのは本当だ」
アサドの迫力に店のオーナーも負けたのか苦笑した。
結局アサドはマラークに後日カミールを迎えに誰かを来させることでマラークを納得させた。
店を後にしながらアサドは無口になる。
するとマラークはアサドの後ろから両腕で背中を抱きしめてきた。
驚いて立ち止まるとマラークは顔をアサドの背中に押し当てた。
「アサドさっきはごめんね。でも僕、本当に友達が欲しくて・・・」
そんな風に言われるとアサドは承諾するしかなかった。
数日後、カミールをマラークの従者の一人して城に迎えた。
マラークが寝静まった夜中、アサドは一人自分の部屋へ戻った。
ようやく静寂を迎えるとマラークに抱きつかれた背中の感触を思い出した。
それだけでアサドの体の血が沸騰するように熱い。
自らのズボンの前に手を入れると、おもむろにその熱を引き出した。
すっかり堅くそそり立った雄が痛々しいほどパンパンに張り詰めていた。
たったあれだけのことなのにマラーク様のことを考えただけこんな風に体が熱い。
「ん・・・くっ・・・はっ」
アサドは雄に指を絡ませながら上下に動かす。
先端から先走りが溢れ出して擦り上げる指の滑りを更に早めていく。
「ああ・・・マラーク・・んっくっ・・」
名前を呼びながら溜まっていた白く濁った蜜をたっぷりと手に吐き出す。
こんな風に自慰をしたのは一体ここに来て何度目だろう。
マラーク様ご本人には決して気づかれないようにしている分、その反動は大きい。
アサドはそれを洗い流すためにシャワールームへ向かった。
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冬コミ原稿終わりました\(^o^)/