道路にやたらと詳しい和真はこんな時本当に頼りになる。
裏道を通りながら竜一達よりも先に目的地に着くことができた。
「なあ、本当にここにくるのかよ」
優翔は少し疑っていた。
先回りしたからって本当に先につくことができたなんて半信半疑だ。
もしかしたらすでに屋敷の中にいるかもしれない。
でも今は信じて待つしかない。
それにいざとなればこの家の中に乗り込んでいけばいい。
月深は無事だろうか?
昨晩まで一緒にいてたくさん抱きしめた後で月深はきっと匂い立つような色っぽさ経ったに違いない。
あの竜一がそんな月深に手を出さないわけがない。
「ちくしょう・・・」
優翔が口に出すとその腕を和真が掴んだ。
「大丈夫、きっと・・・月深だってああ見えてもやくざじゃねぇか」
和真の笑顔は優翔を少しだけ勇気づけた。
「はん、どうせなら俺が手付けときゃ良かったぜ」
嵐の言葉は逆だったが、それでも月深には簡単に手を出せないと言うことを伺わせる言葉だった。
優翔はフッと笑う。
そうだこんな時に、もう過去をとやかく言っても仕方ない。
これから月深にもっともっと愛を注ぎ込めば良いだけのことだ。
「来たぞ!」
フロントガラスを見つめながら和真が声を潜めた。
黒塗りの良く磨かれたベンツが音もなく滑るようにして門の前止められた。
運転手が下りて、門を開けようとしたところに嵐が車から降りてその前に立った。
真っ黒にフィルムを貼られている窓ガラスが開けられる。
「月深・・・」
優翔は息を飲んで車を降りた。
<「更待月」月の砂27へ続く>
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読了、お疲れさまでした。
web拍手をありがとうございます。
実は引っ越しが近くてなかなか更新できませんでした。
すみません、まだちょっと不定期になります。
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