優翔は何度も月深の唇を舐める。
やがて僅かに開かれた唇の隙間から舌を入れた。
抵抗するように押し出した月深の舌はやがて優翔に押され奥へと逃げる。
それを絡めながら引き出していく。
大きく口を開けながら何度も月深のキスを味わっていた。
「ん・・くっ・・ちょっ・・・ん・・あ・・」
次第に激しくなっていく優翔の口づけに月深は僅かに抵抗する。
自分から唇を重ねてきたくせに
何度もしたくせに今更そんな初めてみたいな態度をとるなんて。
優翔は月深を抱きしめている腕に力が入る。
「んん・・ゆ・・ふ・と」
苦しいのか月深は懸命にその腕から逃れようとする。
優翔はそんな月深が余計に愛しく感じられた。
一度唇を離した。
「お前からここに来て俺を買ったくせに、嫌とか言うな」
ともう一度強引に唇を塞いだ。
月深は一度開いた瞳をゆっくりと閉じていく。
長いまつげを揺らしながら優翔の口づけを受けている月深を見ていると
どうして優翔が月深にただけこんなにも執着してしまうのかが少しだけわかった。
ひとしきり月深の唇を味わってからゆっくりと離れると
月深はソファーにもたれかかったままぐったりとしていた。
色白の肌が赤く染まって桜色に染まった頬
苦しさに涙に潤んだ瞳
ねっとりと赤く湿って少しだけ開かれた唇
今にもむさぼりつきたくなる衝動を翔太はこらえてグラスのにアルコールを注いだ。
ピンク色に輝くスパークリングがキラキラとシャンデリアの光に照らされて
まるで煌びやかな夢の世界の用だった。
「優翔、どうして」
月深の言葉で急に現実に引き戻されるが
月深の顔を見るとその手を握った。
「お前の世話にはなりたくなかった。自分自身でケリをつけたくてやり直すつもりだ」
月深はただ、優翔の瞳を呆然と見つめたままだった。
<「更待月」月の光9へ続く>
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