その家の息子ならまさしくヤクザ界のサラブレッド。
それなのに月深は物腰が柔らかく人当たりも優しい。あんなに強面の兄を持ちながら、そんな兄さえ手玉に取る。
一見兄の方がこの世界に向いているのかと思ったが、よく考えると笑顔で事を動かすこの男の方が向いているのかもしれない。
とても恐ろしい男だと思った。
優翔はそんな男に借りをつくり、また新たに金を借りようとしていることが恐くなった。
「キス・・・してくれないの?」
笑顔のままキスを強請る月深に強引に唇を重ねた。
強引に唇をこじ開けてその口の中を犯すように舌で掻き回す。
「ん・・はっ・・」
月深はそんな優翔の服の背中に腕を回した。
そのままさっきまで太陽が座っていたソファーに倒れ込んだ。
唇だけじゃ物足りなくて月深の背中から手を回してシャツのボタンを開いていく。
首筋から舌を這わせながら鎖骨にチュッとキスをする。
月深の色白の肌に花が咲いたように薔薇色の痕跡が残されていく。
優翔はそれだけで月深を征服していくような気持ちになっていった。
「お前が誘ったんだから、今度は最後までしてもいいんだよな」
と白い胸に口づける。
「キスしてとは言ったが・・・」
月深の声には甘い吐息が交じりはじめている。
「あっ・・そこっ・・・」
「ん?ここか?」
「ああっ・・いやっ」
優翔が月深の乳首に舌で突くと月深は更に甘い声を吐き出した。
あんなに冷血な瞳を持ちながら、優翔の愛撫には溶け出すような顔をする。
このギャップに優翔は更に我を忘れていった。
優翔の唇が触れる場所から火がつき始めように月深の体はどんどん熱くなっていく。
自分がこっち側の人間だったなんて知らなかった。
でも優翔と抱き合っていると優翔になら体中の全てを明け渡しても良いと思えた。
兄の太陽をはじめとして部下も月深の周りは皆が月深を見る目が違っていた。
月深はそれが気に入らなかったから、強くなろうと思った。
武道は一通り師範免許を取得した。その他に兄に劣らないよう勉強もして一流の大学も卒業した。大学院も行っている。
大学でも周りの男達は月深に妙な視線を送ってくるが、月深の素性を知られているおかげで手出しをしてくるものはいなかった。
自分には全くそんな気は起きなかった。普通に彼女もいたが、女にも燃えるよう感じを味わったことはなかった。
それなのに優翔は違う。
最初に会った時から不思議だった。水商売という場面でもひときわ煌びやかな訳ではなく、昔から知っていたみたいに接してきた。
やんちゃな子供みたいに月深を巻き込んでいく優翔にいつからか目が離せなくなっていた。
今も優翔の指先が月深の足の付け根に触れてきた。
それでも嫌じゃない。もっと触って、もっと気持ちよくして欲しいとさえ思ってしまう。
自分はおかしくなってしまったのだろうか?
自ら浮かせてしまった腰に優翔が少し驚く。月深は羞恥で顔を隠した。
すると優翔は隠す月深の腕を強引に退けた。
「どうして?月深ステキだよ」
とその瞼にキスしてくれた。
優翔になら全部あげられると思った。
そんな優翔の手が月深のズボンと下着を同時に脱がせて下半身をむき出しにしていく。
まだ明るい日差しの中で見られるのがすごく恥ずかしかった。
懸命に両足を重ね合わせた。
「月深隠さないで・・・すごくきれいだ」
と囁く。これは魔法なんじゃないかと月深は思った。
だって体の自由がきかなくなったから・・・・
<「更待月」月の石14へ続く>
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