煌びやかなシャンデリアにフカフカとした毛足の長い絨毯
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[3回]
磨き上げられたガラスのデーブルや灰皿
一見優翔が支配人をしていた高級クラブと大差はない店内。
だが、ずらりと並ぶのは派手に着飾った男ばかり・・・
「彼の名前は待田優翔君(まちだゆうと)。今日からここで働くことになったから色々と教えてやってくれ」
ホストクラブというだけあって店長のこの男、犬山和真(いぬやまかずま)もスラリとした男らしい体躯に黒髪をオールバックにまとめた姿は女性の視線を釘付けにしそうだった。
店長から紹介されても人ごとのようにそんなことを考えていた。
「おい!よろしくくらい言ったらどうだ?!」
紹介した手前店長も優翔の背中を軽く押した。
軽く押されて前に出ると
奥にいた一番派手な男が優翔の前まで近づいてきた。
「ふーん、きれいな顔してんじゃねぇか。お前後ろはバージンか?」
と下卑た笑みを浮かべた。
「何なら俺が教えてやってもいいぜ」
と優翔の尻をむんずと掴んだ。
ハッとして周りを見回しても皆が口元を上げながら面白そうに優翔を見つめていた。
「おいおい、初物は俺が味見してからって決まりを知らねぇとはな」
入口のドアが開いて、趣味の悪いブランドもののスーツに身を包んだ赤い肩ぐらいまである髪を後ろでひとつに束ねている男が入ってきた。
彼が歩いてくると、大勢いた男達がきれいに道を空けてまるでモウゼの十戒でも見ているようだと優翔は見ていた。
男が優翔の前に来ると近くにいた男達は跪いた。
(何様なんだよ?)
優翔がまじまじと男の顔を見つめた。
「はじめましてここのオーナーの猿島嵐です。ほう、なかなかいい男じゃねぇの。お前は男より女担当の方が売れそうだぜ」
と全身を舐めるように見た。
「待田優翔(まちだゆうと)です」
と言い終える前に嵐の腕が優翔の肩に回された。
「じゃあ、あっちでゆっくり話を聞こうじゃねぇの」
きついコロンの香りにむせそうになりながらも懸命に耐える。
(こいつが金貸しの元締めか?こいつに俺ははめられたっていうのか?)
優翔は男の横顔をじっと見つめた。
<「更待月」アルベド2へ続く>
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