「今日の羽根は一日中まったりとして食事も風呂も何もかも好きな人が世話してくれるでしょう」
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
雫はベッドにぐったりしている羽根の耳元でそう囁いた。
占いの館からは羽根の強い希望で引き上げた。
どうせどこにいても同じなら雫の家に帰りたいと思ったからだ。
羽根に与えられた部屋の豪華なベッドは窓の風が爽やかに感じられる。
部屋自体は決して広くはないが淡い色合いの家具類に囲まれてとても落ち着くからだ。
「恋占いなんて信じてないんだからね」
重い体で寝返りを打ちながら羽根が雫を振り返る。
「信じないのはお前の勝手だ。けど俺はお前の人生をいつでも変えられる」
雫は羽根の頬にかかる髪を丁寧にかき分けた。
顔を近づけると頬に唇を押しあてた。
もうこの人からは逃れられない運命か・・・・
今となってはそれも悪くはないと思っている。
最初は強引だったけど、こうして雫の温もりを感じることが心地良い。
目を閉じながら雫の吐息を聞くとホッとする自分がいた。
あんな風に薬を使われて酷い目にあってもそんな風に感じるなんておかしいかもしれない。
「そろそろ朝食のお時間ですが」
「お前は嫌な男だ」
朱鳥は遠慮なく羽根の寝室に出入りする。
それを雫も許している以上どんな状況に彼が現れても文句は言わない。
けど、嫌みは言うし、無理も言う。
「羽根の上に盛りつけてくれないか」
朱鳥は呆れた顔でため息をついた。
「どこのエロジジイですか・・・それも女体盛りならともかく男盛りなど呆れてことばもありません。羽根こんな男は放っておいて行きましょう。せっかくの料理が冷めてしまいます」
羽根の体を雫から引き離した。
相変わらず微妙な関係の2人に羽根は苦笑する。
「体に盛りつけられるのは嫌だな・・・気持ちを悪いよ」
正直に告げた羽根はシャツを纏って朱鳥の元に行く。
「ほう、よくわかった。今日の羽根は泣くまで俺に嬲られるでしょう」
羽根は今に始まったわけではない雫の言葉にため息をついた。
「仕方ないなぁ」
羽根はもう一度ベッドに戻って雫にチュッとキスをした。
雫は嬉しそうにずくに立ち上がると羽根の肩を抱く。
「特別今日は俺が羽根に食べさせてやるから」
などと自慢げに耳元で囁かれる。
この人本当に会社の重役だった人かと思えるくらいデレデレだ。
羽根がクスクス笑うと朱鳥はチラッとそんな二人を見た。
こんな関係も悪くはない。
ダイニングルームで席に着くと向かいの席でニッコリ微笑む雫に
「俺はまだ雫が俺にしたことは忘れていないからね」
と羽根は不機嫌に言った。
<「恋占い」恋占い2へ続く>
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