だが、すぐにまた微笑む。
「君の兄さん・・・翼はそれで頷いた僕を押し倒した。君もそうするの?」
あっさりそんなことを言われて羽根は首を左右に振った。
「すません・・・つい・・・忘れてください」
「いいよ。押し倒しても。今更汚れることもないし、僕は翼に男なしじゃいられない体にされたんだし、ちょうど少し熱がたまってきていたんだ」
と着物の帯に手をかけるとそれを解きはじめた。
「ちょっと待ってください。俺は・・・」
「いいよ。君たちは兄弟なんだから似ていても当然だよ」
この人はどこまでも傷ついてしまっているのか・・・
羽根はそんな美波の体を抱きしめて唇を強引に塞いだ。
そこから伝わる痛いような刺々しさを強引に溶かしていくようにゆっくりと舌を絡めていく。やがて自分の頬に美波の指先が触れていることに気がついた。
俺は泣いているのか?!自分でも気がつかないうちに涙を流していたらしい。
その涙を美波が拭ってくれていた。
「お願いだから、そんな風に投げやりにそんなに美しいご自分の体を投げ出したりしないでください。本当にあなたはきれいです。無理矢理それを辱める奴も少なくないはずです。それは俺が一番よく知っています。本当に体だけを貪って、一度その味を占めればハイエナのように骨までしゃぶり尽くす。そんな輩です。
でも、俺や兄さんは違います。兄さんはあなたをずっと俺よりもずっと愛しています。だからお願いします。もう他の誰にもその美しい体を投げ出したりしないでください!!お願いします!!俺は・・・俺だって体は気持ちよくてもいつもここがすごく痛い。そしてその痛みは行為が澄んだとしてもずっと痛いんです!!俺にはあなたの気持ちがすごくよくわかるんです」
訴えかける羽根を呆然と見つめていた美波は帯を解いて着物の前を開いて美しい白い肌のまま座り込んだ。
「あなたは俺よりもずっときれいです。男らしいです。それに翼が愛しています」
<「恋占い」美波の家にて4へ続く>
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