「俺はノーマルだ」
羽根はそんなことを言うとスッと明は羽根の尻に指先を伸ばした。
「・・・っ!!何?」
「いや、普通の人は尻触られたくらいでそんな反応示さないって・・・白状すれば?あんた男知ってるよね」
小さな丸いテーブル越しに顔を近づけて囁かれる。
羽根はそれでも首を左右に振った。
「だとしたら、素質あるから大丈夫だよ。それはそれで楽しめるって」
明はどうしても羽根を口説き落としたいらしい。
幸い翼は美波のことで熱くなっていて明と羽根には気づく気配がなかった。
「キスして良い?」
「いいわけないだろ・・そんなもの」
「ほら、そんなの普通なら軽く受け流せるのに、羽根ったらムキになって真っ赤じゃない」
明は羽根をからかっているのかそれとも本気なのか、羽根にはほぼ初対面の明の意図がわからない。
ただはっきりしているのはどのみち自分は彼の暇つぶし程度にはいたずらされるかもしれないという事実。
羽根を守るはずの翼は話に夢中で今は羽根のことなど全く気にしてもいない。
自分から連れてきた癖に全く・・・と思っても羽根だって成人男子なのだから別に誰かに守ってもらう必要はないはずだった。
「ねぇ、奥行かない?」
明らかにそんなところへついていけば何かされるのはわかっていた。それでも羽根は明の挑発にのっていた。
「それともお兄さんに聞かないとどこへもいけないのかな?」
「そんなこと!!」
「じゃっ、こっち」
言われるままに奥まで行くとカーテンに仕切られたVIPルームがあったフカフカのソファにクッションが置かれている。
思った通り明は羽根をソファーの上に押し倒して唇を塞いできた。
「やっ・・」
同時に股間に手を伸ばされてズボンの上から雄を揉まれる。
強引で遠慮も何もない明は簡単に羽根のズボンの中に指先を入れてきた。
下着の上から雄を掴まれて羽根は身をよじって起き上がろうとする。
だが思っていたよりも強い力が羽根の肩を力強くソファーに押しつけた。
「あんまり乱暴にはしたくないから、おとなしくしていなよ」
そう言う明の瞳は冷たく、ホールにいたときとはどこか別人のようにさえ思えた。
「・・・どうしておれ?」
「だって、好きそうだから」
そんな女みたいなことを言われるとは思わなかった。
羽根は見下ろしている明の瞳をじっと見つめる。
「おとなしくしていれば誰も気づかないし、君も痛い思いはしなくて済むんだ。それに何よりもお互いに気持ちよくなれるんだからいいじゃない」
明の手は羽根のシャツの中に滑り込んでその平らな胸を撫でている。
「男なんか・・・」
「男だからいいんだよ。女よりも締まりが良いし、後腐れもない」
たったそれだけの理由で自分はまたしても男に抱かれるのかと思っていた。
だが今の羽根はどこか投げやりになっていて、もう誰でも勝手にすればいいと思っていた。
<「恋占い」ダーツバーにて6へ続く>
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