桧山のキスにぐったりと酔った羽根は、桧山に手を引かれて地下にあるレストランバーへ連れて行かれた。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
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蝋燭の明かりを赤や黄色のガラスの中に入れた雰囲気のある高級な感じの店だった。
案内した黒服の男も接客に優れていてお辞儀の角度までもがとぎすまされた雰囲気だった。
通されたのは個室だった。桧山は取締役だけあって銀座でこんな高級な店とは豪勢だと羽根は驚いていた。しかも会員制のようだ。
テーブルに着くとソムリエがワインを持ってくる。
予め頼んで置いたらしく、料理に合うワインを選んできたらしい。
グラスに注がれた白ワインを手に桧山が笑顔を向けた。
「さて、君に出会えたことに乾杯しないと」
恋人に言うようなくすぐたい台詞をこの人が言うと自然に聞こえる。
羽根もグラスを片手に「私にそんな価値などありませんが・・・桧山さんありがとうございます」
「雫・・・名前でよんでくれないか?私も羽根と呼ばせてもらうよ」
「はあ、でもそれは」
言葉を出す前に近づいた桧山の唇にまた口づけられる。
どうしてこの人は最初からこんな風に羽根のことを女性のように扱うんだろう?
テーブルの角を挟んで桧山の手が羽根の頭を支える。
「羽根、ゆっくり味わっていくといい」
囁きながら桧山が離れるとテーブルの上のオードブルをフォークで刺して羽根の口に運んでくる。
赤い顔をした羽根が僅かに口を開くとそのオードブルが口に入れられた。
「おいしい」
口に運ばれたオードブルは思ったよりもおいしかった。
横を見ると桧山が微笑んだいた。
「よかった。ここの料理人は一流でね、日本でも数本の指に数えられるんだ。ただ、だからっておいしいかどうかは食べる人の味覚次第だから心配だったんだけど、君がおいしいって言ってくれてよかった」
「そんなのもったいないです。私みたいな者のためにそんな・・ご招待に改めて感謝します」
再会したときからばたばたしていてきちんとお礼も言ってなかったことに気がついた羽根はハッとして挨拶をした。桧山はそれを片手で制する。
「あ、いいって。これはプライベートだと思ってくれない?俺は君にすごく興味があるんだよね」、羽根の
そう言って微笑む桧山の顔がぼやけてくる。
何だか急に眠くなってきた。ワインはまだ一杯しか飲んでないのにおかしい・・・あれ?もしかして何か入れられてた?
しまった。まさか・・・・この人悪い人には見えないのに・・
「すみません・・おれ・・気分が悪くて」
立ち上がろうとする羽根が椅子の横に崩れ落ちそうになると桧山が羽根の体を支えた。
「おやおや、大丈夫?」
桧山の声が聞こえて体がふわりと浮いた気がしたが、羽根の意識はそこでとぎれた。
<「恋占い」レストランバーにて2へ続く>
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