蕾に埋め込まれていた張り型を引き抜く。雄から流れ出していた蜜のおかげで水分を含んでいたそれは糸を引きながら光長のふっくらとした尻を濡らした。
いきなり抜かれてひくつく蕾に月余は自らの硬くなった雄を押しあてた。
今までとは違う体温が光長に伝わる。
それだけで体のそこからジワリとした何かが広がった。
月余が体を推し進めていく。
「ああ・・んくっ・・・」
光長は苦しそうに声をあげて両手を強く握りしめた。
月余は光長の耳元に口を寄せて
「ああ、熱くて溶けてしまいそうです。やはりあなたは素晴らしい。萩之介ではこんな風にはなりませんよ」
光長を貫きながら、自分の恋人と比べるなんてひどい。
光長は瞳に涙を浮かべた。
月余は瞳に光るものを見つけて満足げに体を揺すりはじめた。
光長は戒められている雄から流れ出す蜜で蕾の周りもぐっしょりと濡れている。
「はち切れちゃうかもしれませんね」
それに気づいた月余が意地悪く筋をなで上げる。
ゾクゾクと体を襲い続ける甘い感覚が、はき出せない苦しみへと変わっていた。
何度も首を振っても与えられ続ける快楽は止まらない。
涙で顔がぐしゃぐしゃになってもそれは満たされなかった。
「お願い・・・イかせて・・・」
光長は何度もそう繰り返す。
「締め上げられている君のここのおかげで、こっちの方がすごく良い具合なんですよ」
月余は自らの楔を突き入れている光長の蕾を掻き回した。
「うっ・・ああっ・・」
既に限界値は超えていた。このまま締め上げられて後ろから突き上げ続けてこられたら
気がおかしくなりそうだった。
いっそのことこのまま気でも失えればいいのに・・・
だが実際はそれほど甘くはなかった。
光長が気を失ったのはそれからすぐのことだった。
月余は反応の無くなった光長の中から一度雄を引き抜くと、床の間まで歩いていった。
そこに飾られている一輪の梅の枝を引き抜く。
梅の花が刺さっていた花瓶を手に持つと光長の顔にその中の水をかけた。
いきなり冷たい水を頭にかけられてどんよりとした瞼を開いた。
今雅秀と一緒に抱き合っていたはずなのに、目の前にいるのは別の男だった。
光長の記憶がすぐに現実に引き戻された。
容赦なくもう一度挿れられた熱い楔に悲鳴をあげた。
「ひっ・・ああっ・・やぁぁぁ・・」
まだ戒められている雄は円を描くように動いている。
月余はいい加減自分も達したくなったのか、動きを早めながら光長の雄の戒めを解いた。
「はっ・・・ああああっ」
光長は掠れながらも大きな声をあげながらビクビクと体を大きく痙攣させて白く濁った蜜を飛ばす。月余も光長の体の長に熱い蜜を流し込んできた。
その体をギュッと抱きしめられると、相手が誰だろうとしがみついてしまう。
しかし、光長の瞼からは止まることを知らない涙が流れ続けていた。
しばらく黙って抱いていた月余は、光長の頭にかけた水を近くにあったタオルで拭き取ってくれた。
「すまなかった。君は私を狂わせる。きっと私だけじゃない、他の誰でも君と交わると獣に変わるだろう。だから私は君を側に置きたかった」
よくわからない口説き文句が耳元で囁かれた。
言い訳なのかもしれない。一体誰に対する言い訳なのかわからないが、彼自身もかなり反省しているらしい。それなりに地位も名誉もある男だから権力にものを言わせるようなことを
して光長を手に入れた。
けど、そんなことをしなくても恩は充分に感じていたのに・・・
だからといってこんな代償はまっぴらごめんだ。
光長は横で自分の顔を見つめてくる男の顔を見つめていた。
<「弦月」早咲き桜の咲く木下で1へ続く>
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