その日は疲れて夜まで部屋から一歩も外へは出なかった。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
雅秀は飽きもせずにベッドの上でも光長を抱いた。
一体何度貫けば気が済むのだろうと光長は逃げだそうとしたが、許されず結局雅秀の腕に抱かれて朝を迎えた。
男の肌に抱かれて眠ることに慣れた自分が悲しい。
光長は眠っている雅秀から離れようとすると抱いていた腕に力がこもった。
「朝・・・何とかしろ」
男だから体の構造は理解しているつもりだが、さんざん滅茶苦茶にした上でまだそんなことを言うこの男に呆れた。
「自分で何とかしろ」
さすがに光長はそう言うと雅秀も疲れたのかそれ以上はしつこくしなかった。光長はシャワーを浴びにベッドを後にした。
久しぶりにスーツに着替えると気持ちも引き締まる。
雅秀は別人のように格好良かった。思わず見とれていた光長に気づいて雅秀はニヤリと口元を緩めた。
「支社まではタクシーで行くぞ」
支社に行く予定なのだと光長は始めて知った。
前回の商家にしても今回も雅秀は何も言わずに光長を連れて行く。
光長も仕事だと思うからこそ深く追求はしなかったが、まさかこんなに遠出させられて、何日も家を空けてしまうとは思わなかった。
幸い家を急に空けたからといって心配するような同居人やペットもいなかったから良かったが、もしペットがいたら飢え死にさせていたかもしれない。
部屋を出てタクシーに乗り込んでからもそんな思いで雅秀の顔を見つめていた。
「お前言いたいことがあるなら口に出して言え」
ふと見つめられていることに気づいた雅秀はジロリと光長を見た。
考え毎をしながらただ呆然と見ていただけの光長は逆に慌てて視線を逸らした。
「あ、いや別に・・・」
「ほらまたぁ~なんかそれムカつく」
雅秀の口元が意地悪く歪むのを見て光長は『しまった』と思った。
同時に雅秀の手が後ろから光長の尻の辺りに触れてきた。
「だから、いつもどこへ行くのか聞かされないまま連れて行かれるから」
光長は動揺して少し大きな声を出した。運転席に座っていたタクシーの運転手がバックミラー越しに光長を見た。
光長はハッとして雅秀に小声で「離せ」と呟いた。
「やーだよ。言っただろムカついたって」
雅秀の手は後ろから光長のベルトの隙間に滑り込んだ。
「・・・っ・・・」
直に雅秀の手の感触が伝わったが、シートを隔てた向こうに運転手がいると思うと声も上げられない。
光長は無言で雅秀の顔を睨みつけた。だが、それを雅秀は楽しんでいる。
雅秀の手は器用に尻の割れ目を行き来している。声が漏れそうになるのを必死に堪えていると、今度はズボンの上から前にも触れてきた。幸い前に鞄を持っていた。
それで必死に隠した。だが自然に声が漏れた。
「はっ・・あ」
「どうしました?気分でもお悪いですか?」
また運転手の視線がバックミラー越しに向けられた。
<「弦月」タクシーにて2へ続く>
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web拍手をありがとうございます。
もう年末ですね。年賀状とかアップできたらいいんですけどここでは無理みたいです。
他をご存じの方はそちらをご覧ください。
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