精根尽きてぐったり気を失ってしまった光長が目を開くと
そこはまた赤い壁の和室だった。
客をとるために用意された小部屋には苦い思い出があった。
それでも和風の家具類に囲まれたこの部屋は決して居心地の悪いところではなかった。
客さえとらされなければ・・・
ゆっくりと体を起こそうとしても下肢が鈍く痛むのと中がまだ少し疼いている。
あれだけ媚薬を使われたらすぐには元には戻らないらしい。
最も客を迎えるにはその方が都合良いのかもしれない。
この日は桔梗が準備をしに来ていた。
花梨も相当酷い目にあっていた。まるで芳生は光長へ焼きもちでも焼いているようないたぶり方だった。もしかしたらあの2人は深い仲なのかもしれない。
光長に対してあてつけた仕打ちだとすれば少し納得もできる。
花梨が光長の目の前で貫かれて啼いてはいたが、花梨は心から嫌がっているようには見えなかった。
光長には客をとらせる目的があるから、それで芳生の楔は使わなかったのかもしれない。
それでもあれだけの痴態を晒されたのだ、普通に犯されるのとどっちが良いのかさえ判断がつかない。できることならどちらも嫌だ。
「体洗いましょう」
桔梗の言葉に頷いて立ち上がるととろりと後ろからローションが流れ出した。
思わず顔を背けると桔梗は見ないふりをしてくれた。
花梨と似た顔をしているのに性格は違うらしい。
「僕たちは双子なんですよ」
光長の反応を見て桔梗が言葉をかけてきた。
「顔とか背格好はよく似ているけど性格はまるで違うんです」
桔梗はどことなく男らしい印象を受けるた。
光長は風呂場に入るとためらいもせずに着ていた着物を脱ぎ捨てた。
ふと目の前に映し出された鏡に腰の辺りだけが赤くなっている姿が映し出される。
桔梗の視線を感じて手拭いで雄の部分を隠した。
「隠さなくても平気です。酷い目にあわされましたね」
桔梗は花梨とは違って言葉は少ないし愛想もないが、少しホッとする。
光長は洗い場に座ると自らの蕾の中に指を入れた。
こんな恥ずかしい行為を見られて今までならできなかったことを平気でしている。
桔梗の視線は慣れているせいか不快ではなかった。
「こんなの何回も見てきたのか?」
光長が鏡越しに桔梗に問うと、桔梗は首を横に振った。
「ここまでひどいのはあなたと花梨くらいでしょうか」
「花梨」
自分の肉親が酷い目にあっていても桔梗は平気なのだろうか?
心配そうに見つめる光長にクスッと笑いかけた。
「心配なんて必要はないですよ。あの子はMだからああされると喜ぶんです。だから社長も可愛がるときにいたぶる。そういえばあなたもそっちみたいですね」
そっちと言われて光長は振り返った。
(違う!それは絶対違う)
「違うと言いたそうな顔ですけど、あなたは昨晩何回達ったんですか?」
桔梗はまたすました顔に戻ると淡々と光長の背中を洗い始めた。
光長は何も言わずにただ全てを洗い流したかった。
<「弦月」郭部屋にて2へ続く>
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