翌日、桔梗は楓に呼ばれて部屋に向かうと客を送り出すところだった。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[1回]
「桔梗、目が赤いみたいだね」
楓に言われてプイッと横を向いた。
そういう楓の方が真っ赤に腫れた目をしている。あれからどれほどこの男に愛されたのかが一目瞭然だった。
「桔梗どうしたの?」
萩月は桔梗が楓に素っ気なくて驚いていた。
いつもなら楓にまとわりついている桔梗がそっぽを向いている。
「それじゃあ私はこれで、楓また会おうね。すごく良かったよ」
男は楓の耳元でそう囁くとぎゅっと楓の細い背中を抱きしめてまだ白い夜明けの町に出て行った。
「まいど」
楓も色っぽい微笑みで客を送り出した。
客の姿が見えなくなると桔梗に声をかけた。
「お湯をあびたいので準備を」
そう言って部屋に戻っていった。
桔梗と萩月も後ろからついていく。
「あ、私は食事当番だった」
萩月はそう言って調理場の方へ走っていった。
桔梗はひとり楓の部屋の襖を開いた。
まだ広がったままの褥が昨夜の激しさの余韻を残しているようで桔梗はわざと窓を開けた。
楓は座って髪に櫛を通していた。
「桔梗、昨日私の部屋に来たね」
いきなり楓にそう言われてビクンと肩を振るわせると、楓が怖い顔で桔梗を見ていた。
「覗いたんですか?行儀が悪い子だ」
そう言って真っ赤な瞳が桔梗に近づいた。
桔梗は思わずその頬に触れながら瞼にそっと指を乗せた。
「姉さん痛くないんですか?」
昨日の光景を思い出しながら楓を見上げると楓が睨んでいる。
「私だけじゃない、お前だってやることだ。なるべくならまだ見せたくはなかったが」
「・・・・おれ・・も」
楓がゆっくりと頷いた。
「さ、風呂場に行きましょう。体がベタベタだ。お前に洗ってもらいたい」
楓はそう言って立ち上がった。
<「桔梗」19へ続く>
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