せっかく食べたことがない高級な食事をしているというのに
花梨が余計なものを見つけて、その後の芳生の一言が気になって
桔梗は味わうことができなかった。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[1回]
一方花梨はそんなことはあまり気にならない様子でおいしそうに牛鍋に箸を伸ばしている。
「桔梗、どうしました。好きなだけ食べても良いですよ」
桔梗があまり食が進んでいないことに気づいて芳生が声をかけた。
「それとも隣の部屋の事が気になりますか?なぁにお前が気に病むことは何もないですよ。さっきの言葉は冗談です。ただお前達に知っていて欲しいと思ったんですよ」
芳生が微笑んだ。
「知るって何を?」
牛肉をほおばりながら花梨が顔を上げた。
「あなた達がお客を取るようになったら、例え上客でも気軽にこういった店には来てはいけないということです」
桔梗はまだ芳生に疑わしい視線を向けている。
「まあ、桔梗ならそんなこともなさそうですが、花梨は心配ですね」
芳生の手が花梨の頬に触れると、花梨はその手を無造作に払いのけた。
どうやら今は食い気が最優先らしい。
その光景を見てさすがの桔梗も笑った。
「それじゃあ遠慮なくいただきます」
「はい、早く食べないと全部花梨に食べられてしまいますよ。どうやらこの子はどの口も欲深いようですね」
芳生の意味深な言葉に桔梗は驚いて花梨を見たが
花梨はそれも気にならないほど夢中で食べていた。
「花梨・・・」
桔梗がため息混じりにそう言うと芳生は笑った。
客と外の店に来ても店の中とやることは違わない。
ただそれは商売として割り切る話だ。
外で会えば金はもらえない。そうなるとそれは恋人という感情が絡むことになるのだ。
そんなことはありえない。
頭ではわかっていても、ついつい流されてしまう色子達も多い。
芳生は経営者だけあってそういう子達を山ほど見てきているのだった。
だからあえて花梨と桔梗にそれを教えてくれたらしい。
食べ終わって店に戻ると
花梨はそのまま芳生の部屋に行ったきりその晩は戻ってこなかった。
<「桔梗」16へ続く>
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web拍手とかブログ村ボタンとかありがとうございます。
なぜかこの桔梗だけ話が長くて回りくどいです。
スミマセン。。。
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