何度も何度も同じ事を繰り返しているというのに
それでもそんな行為には慣れはしない。
だが、体には変化起き始めていることを光長は自覚し始めている。
この間の自らを慰める行為だって快楽を求めて触れたこともなかったような窄まりにまで触れてしまった。頭の中では雅秀を押しのけているのに体ではそれを受け入れているのだ。
今も袋をやんわりと舐めながらその後ろの秘められた蕾にまで雅秀の舌が到達すると
全身に何かが走り抜けるような感じがする。
「もっと・・・」
絶対に言いたくないような言葉を口にすると雅秀の口元が上がった。
(違う・・・そうじゃない・・・)
涙が頬をつたっていた。
「光長?!どうした?」
雅秀の声で現実に引き戻される。
雅秀は光長の体を抱きながら添い寝していた。
(ん?!今のは夢?ここはどこだ・・・)
光長があたりを見回すと木で作られた小屋の景色だった。
(そういえば山小屋に来て、滝に入って)
やっと滝壺で足をとられて溺れたことを思い出した。
「お前がどうしてここにいる?」
ひとりで来たはずの山小屋に雅秀がいるのが不思議だった。
雅秀はその問いには答えずに光長を抱きしめた。
「俺の母親はお前の父親が好きだった」
虚ろな意識の中で雅秀が語りだした。
「本当はお前の父の妻になりたかったのにお前の父は別の女と夫婦になったらしい。それで思いあまってお前の父を誘惑した。お前の父は騙されて俺の母親を抱いたらしい。だが俺の母親はその思い出を持ってあの世へと旅たった」
「死んだのか?」
思わず問いかけた光長に対して雅秀が口元を上げて笑う。
「子供より好きな男を取った女だ」
光長は悲しそうに雅秀を見つめていた。
「俺は行き場のない悔しさをお前に向けて生きた。お前を滅茶苦茶にして母の敵をとりたいと思っていた。いわばやつあたりだけどな」
光長は黙って聞いていた。
「だが、最初に会ったお前は光り輝いていて俺には眩しかった。真面目に剣に打ち込む姿を見てどうしても手に入れたくなったんだ」
光長の瞳が驚きに見開かれた。
「お前は高嶺の花なんだよ。俺のようないい加減な男と違って師範からの信頼も厚いし真面目で親切だから後輩達も慕っていた。その都度段々俺はお前をねじ伏せたくなったんだ」
雅秀の手が光長の首筋から背中へと這っていく。
光長がぞくりとするとその手が強く引き寄せられた。
もう片方で光長の顎を掴む。
「この唇に今まで触れなかったのには訳があるんだ。だがお前が自分の命を諦めようとするなんて思わなかった。絶対に死なせない。もう二度とあんな思いはしたくない」
雅秀が光長の唇に自らの唇を寄せる。
程なくふわりと柔らかな唇が重ねられるとその隙間にスルリと舌が入り込んできた。
何度も抱かれていたのに唇を塞がれたのは初めてだが、雅秀の口づけは光長の体中を容易に熱くしていく。
気づくと大きく口を開けて雅秀の舌は光長の舌と絡み合う。
口づけ一つがこんなに淫らな行為だとは知らなかった。
今までされてきたどんな痴態よりも体中が熱い。
光長は初めてされた口づけに酔っていた。
<「蜜月」納屋にてpart3-1へ続く>
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