萩之助が道場から部屋に戻ってくると文机の上に紙切れが置かれていた。
そこにはただ“屋根裏にて待っている 月余”と書かれていた。
こんなことは初めてだったが萩之助は嬉しくて屋根裏へと急いでやってきたのだった。
しかし月余の姿はどこにも見あたらなかった。
「月余様どこですか」
屋根裏に入って行くといきなり誰かが萩之助の腕をつかんだ。
萩之助は嬉しそうに振り向いたがすぐにその顔が曇った。
「月余様ではなくて残念だったな」
それは月余よりも2つ下の久雪だった。
「どうしてあなたがここに・・」
「どうしててって俺が置いた書き置きを見て来たんだろう」
久雪は雅秀と同期にこの道場に入門していた。
以前から月余に憧れていたのを萩之助も知っていた。
その久雪からの呼び出しと気づかずうっかり月余の名を呼んでしまったことを今更後悔していた。
「いえ、私に何かご用でも」
萩之助はバレていないことを願いながらそう言った。
久雪は萩之助の顎をつかんでその顔を覗き込む。
「あの・・」
「ふん、月余様がお前を抱くというのなら俺も一度お前を味わってみてもいいかもな」
そう言うといきなり久雪は萩之助の唇を塞いだ。
萩之助が驚いてその瞳を見開いたがすぐに久雪の体を両手で押した。
ドンという音がして久雪が壁にぶつかる。
「いてっ、乱暴な坊やだな、大丈夫おとなしく言うことを聞けば乱暴はしないからおとなしくしろ」
久雪は手を伸ばして萩之助の両腕を強くつかんだ。
「大声出してもいいけど、他の人にも知られちゃうよね」
「痛い・・お戯れはやめてください。私は月余様とはその・・あなたが思うような仲ではありません」
「そうか、だが俺は決めた。ここでお前を抱いてやる」
「なっ!!それはご勘弁を!!・・嫌!!」
久雪は萩之助を床に押し倒した。
木の床に体重をかけられて押しつけられると背中が痛い。
萩之助が顔をゆがめると久雪は萩之助の袴の紐を解いて着物を両方に開いた。
白い体に残された月余と愛し合った痕跡があちこちに残っている。
「これはなんという」
久雪がそれを見て乱暴に萩之助の体が着ていたものをはぎ取っていく。
「やっ・・やめてください・・・ああ・・」
萩之助は裸にされるとその両手首を頭の上で縛られた。
「さて、どうやって楽しませてもらおうか」
久雪の口元が意地悪く上がった。
<「蜜月」屋根裏にて2へ続く>
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