でも体は事実を否めないほどだるかったり痛かったり、動くことさえままならない。
雫は羽根にキスを落とすと仕事だからと一足先に帰ってしまった。
美波と羽根の2人は同じように呆然と天井を眺めていた。
「今日は泊まっていくと良いよ」
美波が天井を見つめたままそう言った。
確かに動けないだろう・・・だがそこに朱鳥が姿を見せた。
「お迎えに参りました」
美波は慌てて着物をたぐり寄せたが、羽根は生まれたままの体勢だった。
それを見て美波は眉根を寄せる。
多分朱鳥との間柄も疑われたのかもしれない。
実際、羽根は朱鳥に色々されているけど恥ずかしくない訳じゃない。
でも、美波にわざとその姿を見せることで、美波も翼への心を隠さずに向き合えると伝えてあげたかった。
それと朱鳥とは関係ないと言われれば確かにそうだけど・・・
でも心はいつだって雫を裏切らない。体とは別のところでいつでも羽根は雫を愛している。
言葉では違うことを言っても、雫はちゃんと理解して嫉妬する。
そんな風に考えると羽根はおかしくなって、朱鳥の顔を見てフッと笑ってしまった。
朱鳥は驚いて羽根の体をきれいにする手を止めて息を飲んだ。
「羽根・・・君という子は酷だよね。この方困ってるじゃないか」
見かねた美波が苦笑する。
羽根は朱鳥の首に腕を回した。
「ねぇ、俺とこの人どっちを抱きたいと思う?」
「そんなあなたが私にはたまらないと言わせたいんですか?残念ながら私は雫に忠誠を誓いましたので・・・」
と羽根に服を着せる朱鳥に羽根はニッコリと笑った。
「うわぁ~じゃあ俺と張り合う?」
「それは・・・」
と赤くなる朱鳥に横から美波もクスッと笑った。
「全く君という人は・・・わかったよ、翼のところへ行くことにしたよ」
それを聞いて羽根は美波を振り返ると抱きついた。
服を着せていた朱鳥から離れて朱鳥が困った顔をする。
「ありがとう、翼はきっと喜ぶよ!よかったよ」
「けど、蒼空はどうするの?」
<「恋占い」美波の部屋にて10へ続く>
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