誰もいない部屋のベッドの上で放置されれば次第に眠くなっていった。
羽根は疲れていたのもあって拘束されたまま眠ってしまった。
目が覚めたのはすっかり辺りが暗くなってからだった。
部屋の照明は付けられずにランプの炎がゆらゆらと数カ所灯されていた。
朱鳥でも来たのだろうか、羽根の体にはベッドの羽根布団が掛けられていた。
だが身を包んでいた服は着ていないらしい。
眠っている間に一糸まとわぬ姿にされていた。
両手両足を拘束されても寝返りをうつぐらいの鎖の余裕はあった。
羽根は体を起こそうとして目眩を感じた。
あれ?何だろう・・・すごく視界がぼやける。それに股間が変だ。
違和感を感じながら足を擦りあわせてみて、自分の雄がすっかり勃ち上がっていることに気がついた。
全身も熱く胸の辺りや後ろも疼く。
変な薬を使われているに違いなかった。
一度達かないと擦れて下肢が痛い。
だが両手両足を拘束された姿のままではどうすることも出来ない。
視線だけ彷徨わせながら布団を少しずらして自らの硬くなった雄を見た。
パンパンになってピンと勃ち上がった雄は先端がヒクヒクと動いている。
何もしていないのに見ているだけでその先に透明の密をたたえていく。
ふと布団のに乳首が擦れてそこに視線を移動させると、こっちも赤くツンと尖っていた。
ベッドの上でシーツに体を擦りつけながら自らの快感を高めていく。
惨めな行為だと思いながらも体が熱く疼き続けるとじっとしているのが辛かった。
羽根がベッドの上で鎖をジャラジャラと鳴らしているとようやく部屋のドアが開けられた。
ランプの光しかない部屋ではその人物が間近に来なければ誰なのかわからなかった。
だがその人物はベッドから少しだけ離れた場所の椅子に座って、それ以上羽根に近づこうとはしない。
「しずく・・なの?」
羽根は相手を確認しようと声をかけてみたが、その男は返事を返しはしなかった。
こうしている間にも羽根の体はどんどん昂ぶっていく。
布団やシーツで擦れるだけでも刺激があってもそんな刺激では全然足りない。
羽根は座っている人物を呼んだ。
「誰なの・・だれでもいいからお願い・・・こっちに・・・」
だがちっとも近づいてくる気配はない。
羽根はベッドの上で体を打ち付けはじめた。
「じゃあ、せめてどれか一カ所だけこれを外してよ」
足を組み替える気配だけは感じたが、まだその人物は動かなかった。
「ねぇ・・どうすればいいの?!」
羽根が怒鳴るとようやくランプの炎がゆらりと揺れた。
彼が近づいてくる。
その顔を見上げて羽根は一瞬微笑んだ。
「朱鳥、俺を助けて」
「すみません、本当は口を開くことも許されていませんが・・・私も辛いのでこれだけ伝えさせてください。私は雫さまにただここに座ってあなたに触れることはもちろん、近づくことも話すことも許されていません。あなたが泣き叫んでもただじっとここに座っていることを命じられました。だからあなたの問いかけにも命令にも一切答えることはできせん」
鎖に繋がれた片手を少しだけ伸ばす羽根を無視して朱鳥はそのまままた離れた椅子に戻っていく。
朱鳥にとっても辛い仕打ちかもしれないと思うと羽根はそれ以上何も言えなかった。
こんな格好を朱鳥にずっと見られているのも恥ずかしい。
ズルズルと布団を引き寄せるとその中でぎゅっと目を閉じた。
それでも火照っていく体が羽根を休ませてはくれない。
羽根はついに涙を流した。
ふと人の気配を感じて顔を上げると朱鳥が羽根の頬に口づけていた。
「一カ所だけ・・・・外して良いと命令されました。ただしそれは片足です」
よく見ると朱鳥の耳にはイヤホンが着いている。
これで雫は命令していたんだ。きっとどこかで朱鳥と俺のことを見ているに違いない。
羽根はそう思いながらコクンと頷いた。
<「恋占い」占いの館にて6へ続く>
にほんブログ村
読了、お疲れさまでした。
web拍手をありがとうございます。
PR