「俺が彼女と別れたのは偶然だったの?」
その言葉に雫は首を横に振る。
「それも仕組んだんだ」
「ひどい・・・」
羽根がキッと雫を睨んだ。雫はそれでもニコニコと微笑んでいる。
その表情が羽根には無性に腹立たしい。
「こんな風に俺が悲しんだり苦しんだりするの楽しんで見てたんだね」
「それは」
「いいから」
羽根の言葉に朱鳥が何かを言おうとするのを雫が遮った。
「決してそう言う訳じゃないよ。でも俺はずっと羽根が好きだったんだ。これだけは信じて欲しい」
微笑みながらも真剣な眼差しで羽根を見つめる。
「ふざけないでください。俺が彼女と別れたのも雫のさしがねだったの?回答次第じゃ俺・・・」
何かを言おうとする朱鳥に雫は目配せすると朱鳥は「でも・・」と小さく呟く。
羽根にはそのやりとりさえ無性に苛立ちを募らせていく。
しばらく俯いていた羽根は顔を上げると雫に向かって
「もういいです。俺やっぱり翼と一緒に海外に行くことにします」
と立ち上がった。
「羽根、俺は君を手放したりはしないよ」
と羽根の肩を掴むとその体を強引に引き寄せた。
羽根は雫の体に両腕をついて引き離した。
「やめてください!これ以上俺にあなたを嫌いにさせないで!!」
しかし雫はその手を離そうとはしなかった。
「嫌いでもいいよ。それなら俺はお前の体だけでも愛する」
と羽根の腕を掴んで抱き上げた。
「やめろ!このっ!はなせよ」
羽根は雫の腕の中で暴れていた。
「雫さま!」
朱鳥も思わず表情を変えていた。
「お前は呼ぶまでここで下がっていろ!」
突然険しい表情になった雫は羽根を抱きかかえると強引に奥の部屋へと羽根を連れて行った。
ポスンッ!と大きなベッドの上に放り出された羽根は上から見下ろしてくる雫を睨みつけた。
「さんざん弄んでおきながらまだ足りないの?」
「ああ、お前が狂うまで犯してやる」
「好きにすればいい、俺は力でねじ伏せられても・・・」
羽根はそこまで言ってから両腕と両足の自由を雫に奪われていくのを感じた。
本当は好きなのに・・・どうしてこんな・・・
もっと甘い口づけを交わして普通に抱き合えるはずだったのに・・・
羽根はふとそんなことを考えてから首を振って思い直した。
最低な奴・・・
睨みつけるように雫を見た。
「かぶりつきたくなるようないい目だ羽根」
どういうわけか鎖のついた腕かせと足かせがベッドの上の羽根を拘束した。
これで完全に自由は奪われた。
「さて」
雫はベッドの上で拘束された羽根をチラッと見てから少しだけ考えた。
それからすぐに思いついたように部屋を出て行った。
「おいっ!!離せ!!俺をここから出せ!」
誰もいない部屋にカチャッと鍵が閉まる音だけが響いた。
てっきり雫に酷いことをされると思っていた羽根はひとり取り残されてただ辺りを見回していた。
<「恋占い」占いの館にて5へ続く>
にほんブログ村
読了、お疲れさまでした。
web拍手をありがとうございます。
PR