そこからドクンと生温かい液体が流れ出した。
ぐったりとした体をソファーの上に解放される。ゆっくりと朱鳥が埋め込まれていた楔をズルリと引き抜くと一緒に液体も流れ出る。
「あっ・・・」
ソファーに淫靡なシミができて羽根は現実に引き戻され僅かに声が出た。
それでも眠気は容赦なく襲いかかる。
このままここに裸で放置されてしまうのだろうか・・・それはすごく嫌だな・・
とは思っていても体がいうことを効かない。
朱鳥はどうする気だろう?僅かに開いている瞼の隙間に朱鳥の顔が近づいてきた。
「心配しなくても大丈夫だから安心して休めばいいですよ」
安心て言われても・・・先日も今日も2回も続けて薬を使われるなんて・・・
と考えながらも羽根の記憶はそこで途切れた。
「羽根?!何て無茶をするんです!!雫に見つかったら殺されるわよ」
カラオケルームに呼び出されたのは、なぜか羽根の上司である月岡蒼だった。
「別に、あなたが洩らさなければ誰も言いませんって」
冷静な態度を崩さず、すっかりもなにもなかったように衣服も髪型も整えた朱鳥はソファーに腰を下ろしていた。
入口のドアを開けた蒼は背もたれの反対側に回り込むとそのソファーに裸のままぐったりと倒れ込んで生々しい液体を体につけていた羽根に驚いた。
まだ20代か30代にしか見えない蒼が女性なのに男の裸を見ても慌てふためく感じはない。実は朱鳥はこの蒼とは学生時代からの級友だった。
その頃の蒼はなんと男だった。当時から蒼は自分の性癖に悩んでいた。思い切って朱鳥に相談した結果、今に至った。
蒼は今でも女性ではない。れっきとした男だが、仕事やその他ではすっかり女性になりすましている。女性として生活するようになった蒼は一気に人生が変わった。
生き生きとしてバリバリと仕事もこなす。実質男なのだから無敵だ。
と言うわけで羽根の痴態を見ても動揺はしたものの騒ぎ出したりはしなかった。
「私が連れて帰るから、車まであなたが責任を持って運びなさい」
テキパキと命令する蒼はやはり上司として優れている。
テーブルのおしぼりや蒼の持っていたタオルで羽根の体をきれいに拭き取ると羽根の服をひとまとめに紙袋に押し込んだ。蒼の着ていたコートで羽根の体を包み込んで抱き上げる。
「本当に羽根みたいに軽い子だ」ぽつりと朱鳥が呟くと蒼は朱鳥の頭をポカリと殴った。
「酷い人、可愛そうな羽根・・・」そう言って抱き上げられた羽根に口づける。
「おいっ!!」朱鳥がこめかみをピクピクさせながら蒼を睨むと蒼はその背中を押した。
「店には私から話は付けたからさっさと出て!」けたたましくまくし立てられて朱鳥は羽根を抱き上げて地下にある駐車場に向かった。
<「恋占い」蒼の部屋にて1へ続く>
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