芳生は光長の体を起こすと乱れた着物を直し始めた。
雄はそのまま戻されるとキュッと帯も締め直してくれる。
自分も着物の裾を直すと光長の口元を先程お茶で使ったふくさで拭ってきれいにした。
「誰か」
にじり口に声をかけると程なく戸が開いた。
花梨とは別の若い男が顔を見せる。
「光長君を部屋に案内してあげてください」
中途半端なまま部屋にもどれと言うのだ。
光長はふと視線を自らの股のところを見ると僅かにそこが持ち上がっていた。
この男に全てを聞かれていたのだろうか?
彼は無表情のまま芳生の言葉に従って庭で待っている。
光長が芳生の顔を見つめると彼はまたあの冷たい笑顔を浮かべた。
「何ですか?そのまま部屋で休めばいいい。でもそれを外すことは許しませんよ。もしも外そうものならばこうします」
「あうっ・・」
スイッチの電源を入れられて着物の真ん中が更に持ち上がった。
「やっ、やめて」
芳生は笑いながらスイッチを切るとお茶の道具を片付け始めた。
「値打ちものを手にすると手放したくなくなるのが困ります。まあいらなくなるくらいそれを愛でるのも一興ですが」
その言葉を聞いて庭にいた男が咳払いをする。
「さあ、早くしないと桔梗が風邪をひきます」
芳生の言葉で光長が外に出ると桔梗と呼ばれた男は眼鏡を押し上げた。
「あの・・・」
今までのずっとここにいたのかと尋ねようと思って口を開くと桔梗は光長の前を歩き始めた。
通された部屋には雅秀の姿はなかった。
一体どこへ行ってしまったのだろう?
広い屋敷の中、たくさんの部屋があるので勝手に出歩くわけにもいかない。
それにまた変なカメラで写真など撮られたらたまったものではない。
光長は部屋でおとなしくしていたが、戒められた雄の先の金属のおかげで
体が火照ったまま、中途半端だ。
着物の上からでも乳首が尖っているのがわかる。
自らそこに指先をあてるとジンジンと余計に雄がきつくなった。
「うっ・・・くっ・・・」
そのままベッドへ潜り込んで眠ってしまおうと目を閉じた。
しかし中途半端で寝付くこともできない。
しばらくするとザワザワとした声が耳に入ってきた。
ドアの前に立ってそっと扉を開いて様子を伺った。
すると隣の部屋へ数人の男が入っていくのが見えた。
その最後に歩いているのがなんと雅秀だった。
光長は部屋を出て隣の部屋のドアの前に立つとそっとドアを開いて様子を伺った。
<「弦月」客間にて2へ続く>
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