優翔が店に行くと優翔の店での位置づけが上がっていた。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
それは月深のおかげだった。
たった一夜で立場が変わるのがこの世界にはよくあった。
そしてこの日も月深は優翔に会いに来た。
「あんまり無理しなくても・・・」
優翔が月深のコートを与りながらエスコートする。
「無理なんか、俺を誰だと思ってるの?」
月深と一緒にいると月深の家柄のことを忘れてしまいそうになる。
だが月深は立派な組の総長の息子だった。
「そうだな、けどあまりここは好ましくはないな」
仮にもホストクラブ。
男性客など月深以外は殆どいなかった。
大抵は優翔に最初ついたような水商売か女社長。それからお金持ちのマダム。
たまに興味本位のOLが紛れ込むこともあるが、大抵謝金を作って
風俗に身を落としていく。
煌びやかな店の外見とは裏腹にドロドロとした欲望にまみれた世界だった。
だから優翔は月深にそんな場所に来て欲しくはなかった。
「月深さん今夜も優翔をお持ち帰りですか?」
今朝電話してきた東間がやたらと月深に興味を示すことが少し気がかりだった。
優翔は東間の顔をじっと見ていた。
「怖いなぁ~別に俺は優翔の上客を取ったりしませんって・・・」
東間が苦笑した。
「へぇ~優翔嫉妬した?」
なぜか嬉しそうな月深に優翔はプイッと横を向いた。
月深はそんな子供っぽい仕草の優翔が大好きだった。
嬉しそうに微笑む顔を横から東間がじっと見つめている。
「・・・なんか・・・」
月深も呟く。だがそれは優翔にも東間にも聞こえなかったらしい。
二人は月深を挟んで座った。
夜が更けてきても店の中は昼間のように賑やかだった。
ここにいると昼と夜の時間が逆転した。
優翔は以前も同じような生活を送っていたが、ちょっとだけブランクがあるせいか
次第に眠くなってきた。
「月深・・帰るか?」
優翔は帰って寝る意味でそう言ったのに月深はうつむいて赤くなりながら頷いた。
ったく・・・何を期待してやがる。
<「更待月」月の光18へ続く>
にほんブログ村
読了、お疲れさまでした。
web拍手をありがとうございました
PR