窓から差し込む朝日が眩しい。
でも体の自由は奪われていてその光を遮ることさえ出来なかった。
すると誰かがサーッとレースのカーテンでそれを遮ってくれる。
「あっ・・・」
羽根が小さくそう言って微笑むと、覗き込んでくる見慣れた笑顔。
「まだ休んでいて良いよ。羽根には無限の時間があるんだから」
無限か・・・
頭の中で反復してからそのままもう一度瞼を閉じる。
程なく柔らかいものが羽根の瞼に触れた。
雫の唇だと気づいて微笑んだ。
怠い体と拘束されている手足のせいでベッドから起き上がる気にもならない。
もう既に朱鳥はどこかへ消えていたらしく、雫の気配しか感じられない。
その体温が羽根の体にのしかかってくる。
飽きもせずに羽根の裸の体に唇をあちこち押しあててくる。
「フフフッ・・・くすぐたい」
思わず声をあげると雫は面白がるようにわざと羽根の一番弱い脇腹を中心に口づけてきた。
「ああん・・・やだって」
笑いながら羽根が体を動かすと雫はその体に両腕を回した。
ようやく羽根の唇に柔らかな雫の唇が触れた。
何度も啄むように唇を重ねてから羽根の唇が開くと、長い舌が羽根の口の中にスルリと滑り込んできた。
優しい口づけから強引な口づけへと変わっていく。
寝起きでまだぐったりしていた体と頭にたっぷりと雫が与えられる。
「くっふっ・・ん」
強引な舌の動きに羽根はジャラジャラと手足の鎖を鳴らしながら体を動かす。
重いし怠いから動かしたくないのに雫が強引すぎて苦しかった。
ようやく離れていった雫を羽根は睨みつけた。
「やっと起きたね」
休んでいて良いと言いながら羽根が目を開けないと開けるまで悪さをしてくる。
とことん我が儘な男に羽根はため息をついた。
「ねぇ、これいい加減に外してよ」
ジャランと鎖を鳴らした。
だが雫は口元を上げて笑った。
「何言ってるの?まだ1日しか経ってない。まさかたった1日で音を上げたの?」
「えっ?また薬を使う気なの?」
「ああ、もちろん・・羽根は薬を使うとより素直になるからね」
と立ち上がると部屋の奥に置かれているチェストの引き出しを開ける。
そこにはいくつかのはこの中にたくさんのアンプルが入っていた。
雫はその中の1つを取り出した。
「昨日のは欲しくなる薬、こっちのはヒリヒリするらしいよ。ちょっと痛いのかな?それでこっちのはねムズムズするタイプ・・それから」
「もういい・・・やめて」
羽根は恐くなって怯えた瞳を雫に向けた。
「どうしたの?恐い?」
雫は羽根の側に戻ってくるとさっきの中の1本を取り出した。
「これ使ってみたいなぁ」
「それは?」
羽根は怖々と尋ねてみる。しかし雫はニッコリと微笑んで
「ひみつ、ねっ、試してみたくなったでしょ」
と楽しそうに言われてブンブンと首を左右に振った。
いったいどこでこんなくだらないもの仕入れた来たんだ・・・
と思っている間に雫は羽根の蕾にその薬を塗りつけていた。
「えっ・・いや・・・」
まだ起きたばかりでまた雫に虐められると思うと体が熱くなっていった。
<「恋占い」占いの館にて10へ続く>
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