「ようこそ羽根君、いつも翼から噂は聞いてるよ。噂通りというかそれ以上に可愛いね」
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
と挨拶をする長髪の男に翼はフフンと鼻を鳴らした。
「こちらこそ兄がお世話になっています」
「いやいやお世話してますよ色々」
と意味深に微笑む。隣で翼は彼の顔を睨んでいた。
「あれ?」
翼がキョロキョロと見回しながら誰かを捜していた。
「美波(みなみ)は?」
「俺は虹村蒼空(にじむらそら)っていいます。美波っていうのは仲間で俺たち翼とは中学の時からの腐れ縁なの」
長髪の彼は長い髪を肩からさらりと滑らせながら丁寧に羽根にお辞儀をする。
羽根も慌ててお辞儀を返すとその背中に翼が手を回した。
「羽根、お前コイツのこと知ってるはずだぜ、高校の時よくうちに泊まりに来てたし」
そう言われて羽根がもう一度静の顔を見つめた。
しばらく黙って見つめた後急に声を上げて赤くなる。
「あっ!!」
羽根のファーストキスを奪った相手は何を隠そうこの虹村蒼空だった。
あれは翼が高校生で羽根がまだ中学2年の時だった。
翼はいつものように蒼空と美波を部屋に呼んでゲームなどして遊んでいた。
母に言われて翼の部屋に飲みもとお菓子を運んできた羽根に途中で会った蒼空は
いきなの羽根の腕を掴むと翼と向かい側にある羽根の部屋に入り込んだ。
「ねぇ、君が翼の大好きな弟君?」
そう言うので羽根が黙って頷くと、羽根が手に持っていたトレイを取り上げて羽根の机の上に置いた。
「ふうん・・・」
間近で顔を覗き込まれて羽根が目を逸らすとその顎をクイッと上げられた。
その瞬間に唇を塞がれ、衝撃だったのはそこで舌を入れられたこと。
まだ何も知らない羽根の背中を壁に押さえつけながら角度を変えて羽根の口の奥まで舌を絡めた。
羽根は足から力が抜けてズルズルと崩れ落ちそうになるのをこの蒼空は羽根の股の間に膝を入れて食い止めた。
僅かに反応していた羽根の雄に蒼空の膝頭がぶつかって羽根の体がビクンと動くと蒼空はそんな羽根の腰の辺りに触れてきた。
そこにバタンと羽根の部屋のドアが勢いよく開いた。
蒼空がようやく羽根から唇を離して振り向くと翼が立っていた。
翼は羽根の側に来ると震えている羽根の体を抱きしめた。
そして翼は蒼空に「ごめん俺が悪かった」と告げた。
それを聞いた蒼空は黙って羽根の部屋を出て行った。
その相手が目の前の男だと今ようやく思い出した。
<「恋占い」ダーツバーにて2へ続く>
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