結局なしくずしにあのまま翔太ともう一度してしまった。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
翔太は雅秀のように乱暴に光長を扱わなかったので、体に負担はそれほど感じられない。
むしろ軽く感じられるのはなぜだろう?心が後ろめたさのようなものを感じていないからなのかもしれない。
雅秀と約束した支社の受付に行くと雅秀はもう来ていた。
「どうして?早いな」
光長は約束時間よりも20分も早く到着したというのに、自分よりも早く来ていた雅秀が不思議だった。
「これだ」
狭い喫煙スペースの中で煙草の煙を吐き出しながら雅秀は禁煙の多いこの支社の中を指さした。
どうやら一服することが目的だったらしい。
光長は納得した。
「そうか」
「お前は吸わないのか?そういえば吸っているところは見たことないな。どれ」
そう言いながらか顔を近づけてきた。
「よせっ、ばかっ」
頭を手で押さえられて慌てて光長は雅秀に抵抗した。
朝からこんなところで口づけなどされたら誰に見られるかわからない。
すると雅秀は笑った。
「何勘違いしてやがる。煙草を口移しにやろうと思っただけなのに」
口移しが問題なのだと言おうと思ったが光長は視線だけを雅秀に向けて睨んだ。
「今日もあの営業と一緒に行動するのか?」「いいや、今日は2人だ」
雅秀の回答を聞いて嫌な予感がした。
「今日は俺が支社の車を運転して移動するから、お前は助手席でナビをやれ」
とりあえず頷く光長に雅秀は吸っていた煙草をもみ消しながら
「じゃ、ちょっと早いけど出発しますか」
と喫煙スペースを出た。光長も後に続いた。
車は駐車スペースにきれいに並んでいた。同じ白のセダンがたくさん止めてある中からナンバーを確認しながら雅秀がその中の一台の前に立つ。
「これだ」
ワイヤレスでロックを外して助手席のドアを開いた。
「さぁ、どうぞ」
わざとらしく開いて光長を導いた。光長は何も言わずに視線だけで雅秀をチラッと見てから助手席に乗り込んだ。それを確認した雅秀はドアを閉めて運転席に回ってドアを開けると自分も乗り込んだ。
キーを差し込んで回すとエンジン音が鳴る。程なく雅秀はステアリングを回しながらゆっくりと車を走らせた。
駐車場の出口で警備員に社員証を提示すると「お気を付けて」と挨拶されてそのまま門のところまで走っていく。会社の敷地の出口にある門のところまで来るともう一度警備員に社員証を提示してようやく支社の敷地から脱出したという気分になる。
「しかし、驚いたな。こんなに広い場所があるとは知らなかった」
光長がバックミラー越しに遠ざかっていく支社の門を見た。
「ああ、この辺りではうちの会社を知らない奴はいないからな」
雅秀はそう言ってハンドルを握っていた。
「さてと、やっと解放されたな」
雅秀がくしゃくしゃと髪をかきながら車の窓を開ける。フワリと気持ちの良い風が光長の頬をかすめていった。昨日の疲れと心地よさについうとうとしても雅秀は特に口を開くこともなくラジオを聞きながら鼻歌を歌って運転に集中していた。
「着いたぞ」
そう言われて光長は小さな建物の前に止まっていることに気がついた。
ドアを開けて車から降りる。それから建物に入ると程なく商談が始まった。
いつも思うことは仕事をしているときの雅秀はスマートで口調もおとなしく好感が持てる。
これがあんな酷いことをする男だなんできっと誰も思わないに違いない。その証拠にこの会社のお茶を運んできた事務員も案内した秘書も雅秀を見る目がどこかうっとりとしていた。
「終わったな、さて遅い昼飯でもゆっくりとるか」
雅秀にそう言われて時計を見ると既に午後2時を過ぎていた。
あまりに仕事に集中していて気がつかなかったが、そう言われると確かに少し腹が減っていた。
もう一度車に乗り込むと、雅秀は黙って車を走らせた。
<「弦月」温泉宿にて2へ続く>
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