水の中での激しさに光長は気を失ってしまい浜辺に横たえられていた。
何となく人の話す声が聞こえてくる。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[1回]
夢うつつで体にほんわりと温もりを感じて手をあてると
上には乾いた着物がかけられていた。
そっと瞼を開くと老婆がひとり背を向けて去っていったところだった。
どうやら人の声は雅秀とこの老婆が会話していたようだ。
光長は何か思い出したように急に跳ね起きた。
「しまった。もしやあれは真珠売りではないか?」
その言葉に雅秀は手のひらで数個の真珠をころがしながら頷いた。
「これか?」
「良かった。それを私に譲ってくれないか?」
「お前には似合わんと思うがな」
雅秀が真珠を光長の顔の横に並べる。
「私ではない。人に頼まれたのだ」
「ほう」
雅秀はまた口元を上げる。
どうやら光長が海に来たいと言ったのはそれが目的だったのかと
雅秀は理解した。
それならばとその真珠を手拭いに挟んで懐にしまってしまった。
「頼む」
光長はその場に正座する。
かかっていた着物がはらりと落ちた。
光長の着物は海の中にあったものを雅秀が引き上げて干してくれているらしい。
掛けられていたのは雅秀の着物だった。
それを拾って光長は羽織った。
一瞬雅秀は目を細めたがすぐに光長の腕をねじ上げた。
「なにを?」
雅秀の顔見上げると雅秀は腰紐を取り出して光長の両手首を頭の上で縛り上げてしまう。
またしても簡単に拘束された自分に呆れる。
雅秀は何を怒っているのだろう?
見下ろす瞳が鋭くて冷たく感じる。
まるで最初に辱められたときのように・・・
「そんなにこれが欲しいのか?」
もう一度懐から真珠の入った手拭いを取り出した。
光長の目の前でそれを開く。
丸くて白い真珠はそれほど大きな粒ではないが鈍く光っている。
「じゃあお前にやろうか?」
そう言われて光長はコクコクと頷いた。
「よーし、じゃあこう言え・・・・」
雅秀は光長の耳元に口を寄せると囁いた。
一瞬にして光長の顔色が青くなる。
<「蜜月」海岸にて2に続く>
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