本来なら今ここにいるべき王子がいない。
その代わりにいるのは元奴隷。
奴隷なのだからどんなに汚したとしても誰にもとがめられない。
何よりも自分自身がこれまで築いてきた潔癖さを壊すこともない。
最初はそんなつもりだった。
自分にとってマラーク王子が全てだった。
だが、ナジムを見ているとイライラした。
たかが身代わりでしかなくて、見た目だけはよく似ているが全然違う。
その気高さは比べものにならないのだ。
「ふっ、身分の卑しい者同士良くお似合いということか」
アサドはマラークの写真をもとあった場所に置いた。
「あなたもそうお思いになりませんか?」
部屋の入口に隠れていたナジムに気がついていたのか、アサドは急に大きな声を出した。
ナジムがアサドに並んでマラークの写真を見つめた。
「本当にそう思ってるの?アサドは頭も良いし顔だって男らしくて立派です。そんな風に自分を卑下することはないと思います」
アサドの口元が歪んだ。
ナジムは『また怒られる』とビクンと体を震わせた。
だが、アサドはすれ違いざまにナジムの肩にポンと手を置くと、きびすを返してそのまま部屋を出て行った。
私なんかに慰められたくもないと思ったんだろうか。
ナジムはそのままマラークの写真を手にした。
「俺はあんたじゃない。もういいじゃないか。そろそろ解放してくれないか。これ以上深みにはまってしまう前に」
マラークの気高い微笑みが心に突き刺さった。
ナジムはそのまま窓に近づくと城下に広がる町並みを見つめた。
「もういい加減自由になれないのかな?それとも一生ここで性奴のような人生を送るのか?」
ナジムは自らの懐に手を入れた。
平らな胸についている飾りに触れてつまみ上げた。
「んっ・・・」
すぐに堅くしこってきた。
すっかり触られることに慣れてしまったそこは少しの刺激でも敏感に反応した。
窓辺で上着をずらしながら片袖を脱いで胸を露出した。
白い素肌が日光を浴びて輝く。ピンク色の乳首がツンと尖っている。
そこでナジムは大声でアサドを呼んだ。
「アサド!早く着て!もう、こんななんだ」
すぐに大きな手が伸ばされてきた。
部屋を出て行って姿が見えなかったはずなのに、どうして?
「あなたは私だけじゃ満足できずに、大勢の前でその体を晒したいとでも思っていらっしゃるのですか?でも、今はマラーク様です。マラーク様を汚すような真似はこの部屋の中だけになさってください」
強引に窓辺から部屋の奥のベッドの上に連れて行かれて投げ出された。
弾みで上着が殆ど脱げてしまった。
アサドはナジムの胸に手のひらを這わせる。
「くっ・・・」
きゅっと強く乳首をつまみ上げられて痛みに声を上げた。
「痛い・・いや・・」
強く摘まれたままアサドは持ち上げた。
「女みたいですね。ほら舐めて差し上げましょう」
湿った感触が痛みに加わってナジムはそれだけで体が熱くなってきた。
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web拍手をありがとうございました。
いよいよここから行方不明になっている王子マラークのお話が始まります。
お楽しみに(*^▽^*)