ダイニングにたどり着いたところで
雫が大きなどうに手をかけようとすると内側からドアが開かれた。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
中にいた朱鳥が恭しくお辞儀をした。
「これは誰が食べるの?」
思わず羽根がそう洩らすと、雫はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「さあ?きっと君を歓迎してくれたんだね」
羽根の手を取って朱鳥が引く椅子に羽根を座らせると雫はテーブルの反対側へ行って腰を下ろした。
「すごく美味しそうだね。こんな料理見たこともないよ」
自然と微笑む羽根に雫も嬉しそうな顔をした。
「良かった。少しは食欲が出たかな」
「ありがとう・・・その・・・」
羽根は頬を赤くして礼を言う。
「雫・・・好き」
うつむき加減に視線を逸らしながら小さくそう言うと刺すような視線が朱鳥から送られる。
それに気づいてかそうとは全く気づいていないのか、雫はまた苦笑した。
「おいおい、こんなところでそれは反則だぞ。全く無防備な子だね君は・・・」
「だって、俺こんな風に俺のためにってしてもらったことがなくて・・・すげぇ嬉しい」
羽根は雫に抱きつきたい衝動をテーブルに座っていることでこらえた。
「いいよ、俺も忙しいときはこんな風にできないからせめているときだけでも君に喜んでもらいたくてね」
雫は優しく微笑む。
「じゃあいただこうか?」
その言葉に羽根が頷いて「いただきます」と言いながらフォークを握った。
まだできたての料理らしく皿に盛りつけられた料理にフォークを入れると湯気が立ち上った。
同時に香ばしい香りが漂って羽根はそれを口に運ぶ。
「うまい」
子供のように顔をほころばせた羽根は続けて皿の上の料理を食べ始めた。
雫は自分の料理に手をつけずにそんな羽根をニコニコと見守っていた。
部屋の奥で飲み物の用意を調える朱鳥がそんな2人を確認しながらタイミング良く飲み物を運んでくる。
「ワインでよろしいでしょうか?」
と白いワインを雫の元に持ってきた。雫が頷くと朱鳥は羽根の横に立って羽根のグラスに白ワインを注ぐ。
キラキラと輝きながら黄色がかった透明なワインが注がれる。
続けて雫のグラスが満たされると雫はグラスを手にした。
「羽根、乾杯しようか」
羽根は一度食べる手を止めてグラスを手に取ると首を曲げる。
「ん何に?」
「これから始まる君と俺の生活に」
すると羽根は顔をしかめる。
「なんかそれ嫌だ。食べ物でつられたりしないぞ」
そんな羽根に雫は笑った。
そういえばこんな風に誰かと笑いながら食事したのってすごく久しぶりな気がすると羽根は思い、自然と笑みがこぼれてきた。
普通に生活するだけなら全然もんだいないのになぁ。
羽根は食事をしながらそんなことを考えていた。
目の前の雫は一体どう思っているんだろう?
頼むから監禁するとか言わないで欲しい。
羽根はワインを口に運びながらついつい飲み過ぎてしまう。
「これおいしい」
雫はただ優しく微笑んでいた。
<「恋占い」監禁部屋にて3へ続く>
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