腕の痛みに気がついてその腕を動かそうとして、自分の体が拘束されていることに気がついた。
「・・・・っ・・・」
座ったままの体勢で両手首が天井から吊されているロープで硬く縛られていた。
両腕がつられているのと、きつく縛られているせいで手首が痛んだ。
よく見ると光長が拘束されている畳の部屋には格子が組まれていて扉に鍵がかけられている。
ここも時代劇で見るような座敷牢そっくりだった。
光長は少し前まで客の相手をするためにきれいな小部屋にいた。
そこに仮面の男が現れて光長を膝枕に横たえるとその目を目隠しした。
同時にその目隠しをとらぬようにと両手首を後ろ手に拘束された。
男は自分の仮面を外すと、その着物の中に手を滑り込ませて光長の体を舐め始めた。
胸の尖りを何度も嬲られると、気持ちとは裏腹に光長の体は反応を示した。
それでも最初のうちはぐっと我慢していた。
男の手が光長の雄を暴きながら光長の顔を男のものに押しあてられても奉仕していた。
「お前は金を払わなくても足を開くらしいではないか、私にも自ら開いて誘ってみろ」
酷い言葉を浴びせられたが、これも最初は今宵限りと唇を噛みしめながら堪えた。
男は光長の体中を舐め回しながら興奮してくると酷い言葉を浴びせ続けた。
「そういえば以前買った男がそう、名を雅と言ったな」
(まさか雅秀が?そういえば以前雅秀もここにいたことがあると言っていた)
光長は聞き耳を立てる。
「挿れたわけじゃなくて、私に挿れたのだ。あれは凄く良かった。その彼の男根は私が拘束して達けないようにしていたら、かなりよがっていたよ。あの男はもう一度会いたい。だが、君も悪くはないね。とことん泣かしてやりたくなるようなきれいな顔をしておる」
雅秀のことを言われてなぜかすごく腹が立った。この男の腕をねじ伏せてやりたいが手が動かせない。
光長の唇に触れようとした男の唇に突然唾を吐きかけた。
「な、何を?!優しくしてあげたのに唾を吐くなど許せん」
「許せないのはこっちです。権力だか地位だか知りませんが、そんなことで男を良いように服従させる。憂さ晴らしならこんなところでせずに堂々と表でやったらどうなんですか?!」
「貴様!!おいっ!帰る」
男が大声で怒鳴るとすぐ側にいた花梨が部屋に飛び込んできた。
「お待ちください。何かこの者が失礼なことを?」
「ふん、もう興が冷めた。また来るからその時までにこいつをおとなしくさせておけ。痛めつけた体の方が私は好きだ」
男の冷たい視線が縛られた光長に注がれた。光長は目隠しをされたまま憮然としていた。
「お前など二度と来るな!!」
自分でもどうしてここまで怒っているのかよくわからない。だが、雅秀のことを聞かされて自分のこと以上に腹が立っていた。
男が帰ると部屋に黒い服を着たがっちりしたボディガードのような男が2人部屋にずかずかと入り込んできた。光長の体を抱きかかえようとするので光長は抵抗した。
突然腹に激痛が走りそのまま記憶が途絶えたのだった。
そうだあのままここへ運ばれたんだ。目隠しは外されていた。
「困ったことをしてくれましたね。あの方を怒らせてしまったあなたには反省が必要ですね」
澄んだ声が頭上から聞こえて顔を上げると格子の扉の前に花梨を従えた芳生が立っていた。
<「弦月」座敷牢にて1へ続く>
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