嬉しくない褒め言葉とはこのことだろう。雅秀はすごく上機嫌に光長を見つめていた。
「どうしてこんな格好をさせられなきゃならないのかわからない」
「どうしてって・・・」
雅秀が光長の顎に手をかけて上を向かせられる。
覗き込んでくる瞳が真剣で思わずその瞳を伏せると程なく唇を塞いでくる。
結局そうして言葉では何も伝えないままなし崩しになる。
光長はわかっていても甘やかされる唇に抵抗ができない。
雅秀の口つげは他の誰よりも甘い。そんなことは絶対に本人には言うつもりはない。
だが体の芯から解けてきそうな程全身を熱く火照らせる。
「なあ、お前興奮してるだろ」
雅秀の手はドレスの上から光長の尻を撫でる。
光長は気づかれまいとして雅秀から離れた。
「なぁんだ、図星だったか。女装して興奮するなんてお前ってやっぱり・・・」
雅秀は光長の手首を掴むと振り返った。
「もう大丈夫だ帰って良いぞ」
光長の支度を手伝ってくれたメイドに向かってそう言うと彼女はにっこり微笑んで出て行った。
部屋のドアが閉められてもう一度大きな鏡の前に連れてこられた光長は後ろに立っている雅秀と自分の姿をまじまじと見つめていた。
「こんなの・・・」
「下手な女よりもよっぽどいい女だよな」
雅秀は光長の首筋を指先でなぞっていく。光長は首筋から甘い痺れを感じた。
「さぁて、そろそろ楽しもうか」
雅秀はそう言うと光長を抱き上げた。両腕でお姫様のように抱え上げて天蓋付きの大きなベッドまで運んでくるとベッドの上に投げ出した。
「はっ、雅秀!」
光長は上体を起こすと雅秀はその両肩を掴んで唇を塞いだ。
「お前は今から女みたいに俺に抱かれるんだ。楽しみだな光長」
せっかくきれいに整えられた髪が早くも乱れていく。ベッドの上に押し倒されて深く口づけられながら雅秀の片手は光長のドレスをまくり上げていく。恥ずかしいレースの下着にたどり着いた雅秀の指先はおもしろがるようにレースの上を上下する。
その下着姿を暴かれたくなくて必死で抵抗すれば雅秀はおもしろがってその手を押さえつけた。
すると光長は足をばたつかせる。雅秀は上に乗ってそれも押さえつけた。
ドレスの中に入っていた雅秀の手がそのドレスをめくりあげると恥ずかしい下着姿が現れた。
「やっぱりお前こういうの似合うな」
笑いを含んだ声でそう言われると余計に熱くなる。下着の隙間から雅秀の指先が入り込んで光長の雄に触れる。既に感じていたことを知られて真っ赤になると雅秀は嬉しそうにもう片方の手で頬を撫でた。
もう一度唇を塞がれる。まるで麻酔薬のようにうっとりする口づけでぐったりとした光長から一度体を離すと雅秀は光長のドレスの胸の大きなリボンを解いていく。
ハラリとほどけたリボンをどかして肩から手を入れると胸が露わになった。
白い肌に平らな色気のない胸に雅秀は吸い付いた。
「あっ・・はっ・・・」
平らな胸から雅秀が唇を離すとツンと尖った乳首が赤く色づいていた。
一体何が楽しくてこんな遊びを仕掛けてくるのかと光長は半分呆れながらそれでも体は素直に喜んでいるようだった。だから雅秀にひどいことばかり言われるのに、こればかりはどうすることもできない。今だって両方の胸の尖りが素直に反応していて光長はそこから下肢へと響いていることも否定できなかった。
だめだこのままじゃ気持ちよくなる・・・
いくら抵抗しても雅秀には通用しないことも知っていた。
<「弦月」湖畔にて8へ続く>
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