レストランの個室から出て案内された広い階段を昇ると正面に小さなカウンターがありきちんとスーツを着た男がひとりそこにいた。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
雅秀はカウンターにいたスーツの男性から鍵を受け取ると案内は断って光長に
「こっちだ」と言って歩き出した。
長い回廊には赤い絨毯が敷かれていて両脇の壁には入口からあったのと同じガラスで蝋燭を模った電球が廊下を照らしている。まるでタイムスリップしてヨーロッパの古城にでもいるような錯覚をした。回廊の突き当たりを曲がっていくつかの部屋を通り過ぎて雅秀はドアの前で立ち止まった。両開きのドアを開くと中からまた花の香りが漂ってきた。
中を除いた光長は足を踏み入れるのを躊躇った。
きれいな模様の毛足の長い絨毯は廊下よりも更にフカフカで思わず靴を脱ぎそうになる。
「何している。そのままで大丈夫だぞ」
雅秀が笑いながら振り向いた。光長は恥ずかしくなって頷くと雅秀の前に出て窓辺へと真っ直ぐに進む。窓には下のレストランから見えた湖を上から見下ろせた。
レストランの個室よりも高さがあるため少し遠くの山々が絵に描いたように美しく浮かび上がっている。また窓辺のカーテンは絨毯と同じようにヨーロッパ風の華やかな模様が描かれている。
雅秀は部屋に入ってから右の奥へと歩いていきどこかに腰掛けながら光長を呼んだ。
光長が雅秀のいる方を見ると、もう一つの部屋が広がっていた。
部屋の真ん中に大きなベッドが置かれている。それを取り囲むようにチェストやらワゴン、椅子などが細々と置かれているがごちゃごちゃしているわけではない。
どれもロココ調を思わせる鮮やかで曲線を描く家具ばかりだった。
ベッドには天井から下げられて見事な天蓋つきでそのカーテンも見事なレースで見ている方が恥ずかしくなってくるようなベッドだった。
豪華すぎてため息が出るほどの家具調度品ばかりだった。
座っている雅秀は不思議と違和感が無く調和している。
光長は窓辺から動けなかった。
「せっかくだからお前に着せてやりたい服がある」雅秀はベッドの横に置かれていたチェストを開けながら片手で光長を手招きした。
光長はようやくその場から動いて雅秀の意図することを把握しようと側に寄った。
「・・・・・」
手元のレースを見た瞬間に悪い予感がした。この部屋によく似合う衣装。しかも女物のドレス・・・
「どうだ?似合いそうだろ」
雅秀の悪戯っぽい顔をじっと見つめてからプイッと立ち上がろうとすると雅秀に手首を掴まれてベッドの上に倒れ込んだ。
すぐに雅秀が覆い被さって唇を重ねてくる。甘い口づけにうっとりして光長は心地の良いベッドの上に体を預けていた。
「捕まえたぜ」
雅秀は難なく光長の体を押さえ込むとチェストから取り出した見事な装飾の重そうなドレスを横に置いた。
光長の服のボタンに手をかけて脱がせ始めた。光長はもう諦めた。
<「弦月」湖畔にて6へ続く>
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