雅秀の言う言葉が本当ならば、自分が歳をとっても雅秀は永遠に今の姿のままだろう。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
そしてまた別れが訪れる。それならばいっそ出会わない方がよかったのではないか?
でも、雅秀は会いたくて必死で光長を探していた。
何年後かに雅秀と一緒にいるときっと不自然に違いない。
人には寿命というものがある。そしてそれに伴って成長したり老いたりする。
周りの人間と同調しているから悲しみも乗り切っていけるのかもしれない。
それじゃあ雅秀は何度もそんな悲しみを味わい続けていくのだろうか?
自分にそんな価値があるとは思わないが、もし自分だったら耐えられない。ようやく探し当てた最愛の人と巡り会えてもまた別れに直面する。一体何度繰り返せばそれに終わりが訪れるというのだろう。
「・・・っ・・・ああっ・・」
光長は奥まで抉られてときなり声を洩らした。ふと雅秀に視線を合わせると彼の瞳が何かを物語るように光長を見つめている。体の奥がズキンと雅秀を締めつけた。
雅秀はついものように口元に笑みを浮かべるとグリグリと光長の中を刺激する。
目の前も頭の中も真っ白になった。必死で雅秀の筋肉質な背中に指を食い込ませる。
雅秀はそれでも光長の中を抉り続けた。まるで渇いた喉を潤していくように光長の中を貪っていく。光長は雅秀のその行為をおとなしく受け止めていた。
やがてぐったりとした背中に雅秀の唇がゆっくりと這っていく。
「お前が気に病むことはない。俺が自ら背負った定めだ」
雅秀の言葉に胸の辺りがきりきりと痛む。
「これほど医学や科学が発展している世の中にそんな迷信みたいなこと・・・何とか直す方法もありそうだけど」
光長はうつ伏せのまま見事なレースやら柄の乱れた布団の上で呟くと、雅秀の笑う気配がした。
彼は何も言わずにまた光長の白い背中に唇を押しあてた。
その柔らかな感触や体温を感じながら光長は押しあてた枕を涙で濡らす。
気がつかなければ良かった。
雅秀のことを酷い男だと思い続けていれば、こんなに悲しくはなかった。もっと酷くしていて欲しかった。それなのに束の間に見せる優しさに気づいてしまった。
それから時折見ていた夢の真相も知ってしまうと、自分自身が何よりも辛い。
「俺はお前の上で腹上死するまで、お前を犯し続ける。・・・お前の方が先にくたばるかもしれねぇな」
冗談になっていない雅秀の言葉に無理に笑う。
「それなら一生お前に抱かれてやるからありがたく思え」
振り向いた光長の唇を雅秀は塞いだ。
「ああ」
窓の向こうに広がる湖の上では水鳥が羽を広げて飛び立って行った。
その時の水の波紋はすぐに元に戻った。
きっと人の記憶も雅秀の一生の中ではそれくらいのことでしかないのだと光長は眺めていた。
唇から雅秀を感じながら・・・
<「弦月」会議室にて1へ続く>
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