月深のマンションは店からそれほど遠いところではなかった。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
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閑静な住宅街かと思っていたが、下町の川沿いにある高級マンションだった。
「ちょっと意外・・・」
優翔は呟いた。
「ん?」
月深が振り向くと優翔は月深の肩に腕を回した。
「別に・・さて今夜は俺は泊まってもいいのかな」
ここまで来て泊まらないで帰るなんて思わなかったから月深は首を左右に振った。
その顔があまりにも必死で優翔はおかしくなって笑い出した。
これでもやくざな家業な月深は本当に不思議な男だ。
「冗談だよ」
優翔は月深のおでこにコツンと自分のおでこをあてた。
それを聞いて安心したのか月深は優翔のジャケットの裾をぎゅっと握りしめた。
車の運転をしてくれた篠崎は明日の迎えの時間だけ月深に確認をすると、また車に乗って走り去っていった。
これ以上2人と一緒にいてもばからしいとでも思ったのだろう。
「今夜のことは誰にもいいませんのでどうぞこゆっくりと・・・」
去り際に優翔にそう言った。
少しだけ勘違いしているのかもしれない。
本当はまだ月深とはそんな関係じゃない。
まだ一線を越えてはいないのだ。
もちろん月深のことは好きだし、他の同性とは明らかに違う感情を持っている。
でも、だから月深は大切にしたい。
たとえ月深がしたがったとしても、今はまだそのときはないと優翔は思っていた。
「ん?優翔どうした?」
月深がマンションのドアを開けて後ろから入ってこない優翔を振り返った。
「あ、いや・・別に」
優翔は微笑んで月深の部屋に入っていった。
<「更待月」月の光12へ続く>
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