頬に温もりが感じられるのはアサドの膝の上に横たわっていたからなのか・・
もう少しこのまま寝たふりをしていよう。
しばらくすると車が止まる気配がした。
外で誰かが怒鳴るような声がした。
アサドの手がそっとナジムの頭をシートに退かそうとした。
そこでナジムは目を開けた。
「ちょっと厄介なことが起こったようです。あなたはそのまま寝たふりをしていてください」
アサドの言葉に車の窓を覗こうとしたところでその目をアサドの手で塞がれた。
「おとなしく言うことを聞いてください」
少しだけイラだったような声にナジムもおとなしく従った。
アサドはナジムをシートに置いてある敷物で隠すと車のドアを開けた。
「この車を王子の使いの車と知って止めたのなら」
アサドは車を降りるとドアを閉めた。
そこから先の会話がナジムには聞こえなくなった。
外の様子からして何者かが立ちふさがっているらしい。
少なくても友好的な相手では無さそうだ。
そういえば王子にはたくさんの兄がいて、王に可愛がられているマラークのことを邪魔に思っているらしいということをナジムも知っていた。
以前宮廷で会ったときに何度も嫌がらせをされていた。
それもアサドが解決をしてくれていた。
今回もきっとアサドが納めてくれるに違いない。
バンッ!バンッ!バンッ!
突然銃声がした。
車の外では慌ただしく複数の車が走り出す音がした。
ナジムはアサドの言いつけを守って敷物を被ったまま震えていた。
車のドアが開けられて誰かが叫んだ。
「マラーク様!!アサド様が打たれました!」
「えっ?!今なんて・・・」
慌てて体を起こすと腰から下が痺れるように重かった。
しかし、今はそんなことは忘れるほどの衝撃で胸が痛い。
「早く!誰か医者を!!王を!!いや、カマールを呼んで!!早く!」
ナジムは泣きながら叫んでいた。
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遅くなりましたがJ庭参加された方もお疲れ様でした。
ありがとうございました。
いつか本が出せたらいいなぁ~と思っています^^