手足の施錠が外されて自由になった羽根は、部屋の奥にあるシャワールームで体をきれいにしてからもう一度ベッドに転がった。
※ここからは18歳以上の方のみどうぞ
[0回]
すっかりだるくなった腰から下は歩くこともままならない。
ヒリヒリする尻の狭間をかばうように寝返りをうつとふと誰かの視線を感じた。
「朱鳥・・・」
気だるげにその顔を見た。
彼は相変わらず無表情のまま部屋に座っていた。
一体いつからそこにいたのか聞くのが恐かったがとても気になった。
「あなたが目覚める前からずっとここにおりました。雫様の命令でしたから」
羽根が朱鳥の顔を見ただけで彼には羽根の言おうとしていたことが伝わっていたらしい。
実は占い師は朱鳥なのではないかと羽根は密かに考えていた。
「あ・・そ・・」
今更何があっても驚かないし動揺しない。さんざん酷い光景を見せつけたし、この朱鳥だって強いられていた。
羽根はあまり興味なさそうに枕に顔を埋めた。
「お辛いですか?」
「辛くないわけがないだろう。お前がここに俺を連れてきたんだから何とかしろよ」
八つ当たりだと言うことは百も承知しているのに、やけに落ち着いた口調が無性に腹が立つ。
「私にどうしろと?」
朱鳥は言葉のやりとりを楽しむかのように話しかけた。
「そうだな・・・雫を止めて欲しい。あんなにたくさんの薬剤使われたら俺はおかしくなる」
「そうでしょうか?とてもそんな風には見えませんね。この点では私も雫様の意見に同意いたします」
羽根はそう言う朱鳥に体を起こして睨みつけた。
「それって俺が喜んでいるとか朱鳥も思ってるわけ?」
それに対して朱鳥は何も言わずに僅かに口元を上げただけだった。
それよりも体に何も纏わずに裸のまま朱鳥の前で雫との戯れの痕を点々と散りばめた羽根の肢体は魅惑的に映る。
「何か纏われてはいかがですか?」
「へえ、まだ俺で発情するの?」
羽根は悪戯な笑みを浮かべながらベッドに倒れ込むと朱鳥に挑発的に視線を向けた。
「最初から申しておりましたが・・・いえ結構です」
朱鳥にとってこれが雫に与えられている試練だと、羽根もよく知っていた。
「やはりあなたは雫様によくお似合いだ」
と椅子の上で足を組んだ。
「私を誘惑して何とかしようとしても無駄だと言うことはあなたが一番よくご存知ですよね。雫様は誰も信じてはいらっしゃらない」
その言葉になぜか羽根は涙を流した。
一瞬朱鳥の表情が変わった。それは予想外の反応だったらしい。
「雫は可愛そうだね。朱鳥は雫が好きなんでしょ」
そう言われても肯定も否定もせず朱鳥は羽根を見つめていた。
「好きな人を信じないなんて悲しいよ。朱鳥も雫も・・・俺はどんなに酷い子とされても見せられても雫を信じているから最終的に気持ちよくなるんだ。もしも信じていなかったら辛いだけじゃない!!」
羽根の言葉は次第に力強くなっていった。朱鳥は目を見開いて立ち上がった。
そのまま無言で羽根のベッドの側に近寄ってきた。
「雫様は私を信じているから羽根の側に置いていると言うんですか?」
羽根はコクンと頷いた。
朱鳥は羽根の前で跪いた。
<「恋占い」占いの館にて13へ続く>
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